8回 立花翔、VS階層ボス

扉は重さを感じることなく簡単に開いた

中は広い草原があり、さっきまでいた階層と違い鳥が全く飛んでいなかった


『相変わらずダンジョンは不思議だよな、景色が全く違う』

『今回はまだましだろ、ほかのダンジョンは暗い場所から明るい場所に変わったから、冒険者全員目つぶし食らってたぞ』

『全員〇スカ状態ww』


大体は、目に見える位置にボスはいるはずだが、今回はいない

静かで、心地よい風が吹いているだけだった


バタン!!


「ヒッ!!」


急に扉が閉まる

ボスから逃げられないようにする為にダンジョンが判断するらしい


「つまりボスはちゃんといる訳だな・・・全員どこから来ても反応できるように警戒しておこう」


「う、うん」


『ついにボス戦や!!』

『ショウ頼むぜカナンちゃんは戦ったことないし、実力的にも厳しいぞ』

『カカモンもいるから手も出せないぞ』



ドドドドドドドド


「何の音?」


「グルルルル」


突然何かの音が鳴り始め、ブラッティウルフが警戒し始める

その音はだんだん大きくなりそれに比例して振動が大きくなる


「来るぞ!気をつけろ!!」


「プギイイイイイイ!!」


現れたのは、カナの言っていた通りイノシシだったのだが、サイズがおかしい

目の前にいるのは大型トラックと同じくらいの大きさのイノシシ

アイアンボア

体毛が鉄のように固く攻守において脅威である

すでに興奮しており、鼻息荒く、足で地面をかいている


「カナンちゃんは遠くに離れてブラッティウルフに守ってもらって!頼んだぞ」


「ワフッ!」


遠くに退避するカナ達が目に入ったのか、狙いをカナ達に定めるが


「おい、デカブツどこ見てるんだ?お前の相手は俺だ」


「!?」


殺気を出し、こちらに意識を向けさせる

自分より小さい生物に殺気を撃たれたのが気にくわなかったのか、更に鼻息が荒くなり目が鋭くなっていく


「プギイイイイイイ!!」


物凄い音をたて翔に向かって突進していく、体毛が銀色に近い為、本当にトラックが突っ込んで来ているようだ


「来るか、なら」


腰を落とし、全身の筋肉の部位を意識しながら魔力を丁寧に込めていく

両腕を前に構え受け止める構えをとる


「ショウさん避けて!」


「来い!!!」


『『『何言ってんだあいつ!?』』』


傍からみると、トラックが突っ込んで来るのに逃げようとせず、受け止めようとする馬鹿みたいな光景

常識的に考えて不可能である


ズドン!!!


物凄い音が響き、全員がショウが跳ね飛ばされスプラッタな光景が映したされていると思われたが



「どうした?この程度か?」


「プ、プギイイイイイイ!!」


跳ね飛ばされることなく、巨大な牙を両手でしっかり握りその場から少しも動いてないショウの姿

さらに強く押し込もうとするがアイアンボアの足が空回りしている


「お?強くなったな、だがまだまだな!!」


さらに巨大なアイアンボアの体を柔道の要領で横に投げ飛ばしてしまうしまつ

この光景にコメントは滝のように流れる


「プギイイイイイイ!!」


強く打ち付けたものの流石はボス、今まで通りに一撃では沈まず、即座に立ち上がり威嚇をした

自分より小さいものに自慢の突進を止められさらに投げ飛ばされたことに怒りを募らす


「ショウさん大丈夫!?」


「おー、平気平気」


「それはそれで怖いんだけど・・・」


『『『同感』』』


無傷で尚且つ体力を消耗していない翔に、一同ドン引きである


「さて、この後大切な用事があるんだ。さっさと来いよ子豚ちゃん?」


「プギイイイイイイ!!」


再度突進を仕掛けてくる

さっきよりも勢いが凄まじく一歩一歩踏み出す力が強くなっており、地面が削れている

アイアンボアは己の必殺の一撃でこの愚かで無礼な小さきものを蹂躙することだけに集中していた

しかし、通用しない攻撃が通用する訳なく再度凄まじい音を発し翔に受け止められていた


「諸突猛進ってか?芸がないな。だったらこれで終わらせてもらうぞぉ!!」


牙を掴んだ状態で自身を中心にハンマー投げのように回転させ、上空に投げる

人間相手ではなく、イノシシ相手にジャイアントスイング

まるでアニメやゲームのような光景に一同絶句である


そして翔自身もアイアンボアに向かってジャンプ

そのジャンプ力も異常で人間の域を軽く超えている

アイアンボアの頭部が地面に向かうように調整し、暴れないように前足に足を置きがっちり体をロック

そのままイノシシを中心に回転する


『あ!あの技はぁぁぁ!!!』

『まさか現実で出来てしまうのか!?』

『伝説の技が生で見れるのか!!』


「え!?何!?みんな何のこと!?」


この状況に視聴者狂喜乱舞、カナは元ネタを知らないらしく置いてけぼりだった













「必殺!スクリューパイルドライバーーー!!」


ズカアアアアン!!




凄まじい砂煙が舞い上がり晴れた先には、頭を地面に埋め込まれ動かないアイアンボアとその横で拳を突き上げる翔



『決まったああああ!!』

『まじかよ!やりやがったあいつ!!』

『冒険者の身体能力なら筋肉の方はワンちゃんいけそうだけど、まさかあの巨体相手にスクリューをやるとは狂ってるぜ!!』


「きゃーーーーーーー!!!!ショウさん凄い!!強い!!」



















「今夜はイノシシ鍋だああああ!!」


台無しである



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