5回 立花翔、さっそく非常識を見せる
ダンジョン配信宣言から数日
日々忙しく生活している戦士達(社会人や学生などなど)のオアシス、休日に立花翔はダンジョンにいた
これまでダンジョン配信までの世間の反応は半々である
やはり、あまりの非常識さに合成を疑う者も多い
そこで彼、立花はある一手を投じた
「いやー、すみませんね。カナンさんみたいな人気配信者をカメラマンみたいに扱ってしまって」
「そんなこといいですよ。むしろ助けてもらって何もしないのも
嫌ですししね☆」
そう一つのカメラでは疑われてしまうなら他の人の配信の二つで流せばいいという作戦である
発案件実行班カナン氏
「助けられた後にアーカイブ見たけど、本当に無茶苦茶な戦い方で倒してるんですんね。Fランクとは思えませんよ」
「これがFランクなんですよね」
「昇級テストはちゃんとうけてますか?」
冒険者のランクを上げるには一般的には昇級テストを受け合格すれば上に上がれる
まれに冒険者課のお偉いさんに推薦されて上がることもある
「最初のうちは受けてたんですけど、魔法が撃てなくて武器がまともに扱えないやつが昇級できるわけないだろうと言われて門前払いをされまして、それっきりです」
「そうなんですか・・・(でも試験を受けさせないのは違法なはず)」
「そんなことより、もうそろそろ始めましょうか」
「そうですね、でもその前に敬語やめてください。私16歳ですよ,立花さんは31ですよね。おかしいのでお願いします」
少しむすっとした表情で見上げるカナン
まるで子供が機嫌を損ねたようにむくれている
可愛さもあるがその外見のせいか保護欲を刺激される
「わ、わかったよ」
「じゃあ、準備しますね」
上機嫌なカナンは撮影の準備にとりかかる
流石は人気配信者、あっという間にセッティングが完了する
「それじゃ開始しますよ」
「どうぞ」
ピッ
「みなさんこんにちわ。カナンです☆そしてぇ~」
「どうも、ショウです」
『カナンちゃんキチャ!!』
『今日もカワイイ!!』
『お!ショウじゃん!』
『コラボだ!』
「ちょっとショウさん。そこは今話題の男とかもっとアピールしないと」
「いや~、はは」
『ショウ、タジタジで草ww』
『ほぼ素人みたいなもんやからなぁ』
「あ、この配信はショウチャンネルでも配信してるからそっちもよろしくね、それで今日は何しにダンジョンに?」
「今日は僕の戦闘が合成でないことを証明しようといつものダンジョンと別のダンジョンに来てます」
『確かに違うダンジョンやな』
『合成疑惑はなかなか晴れないな』
『ほなワイは2窓するか』
『ワイもワイも』
前回と同じ場所だとまた合成を疑われてしまうので、わざわざ遠出して別のダンジョンに来ている
『今日は上層からですか?』
「あ~、そのことなんですけど、今下層にいます」
『『『『ファ!?』』』』
その反応に苦笑い
本当なら中層あたりでカナンさんの安全を確保しつつ配信としたかったのだが
「みんなショウさんってすごいんだよ。ここまで来るのに戦闘が一回もなくて、モンスターとばったり会ってもすぐに逃げていくんだよ!」
『どっちがモンスターかわかんねーよww』
『むしろ階層ボスじゃねーかww』
『うそくせーww』
「そういうと思ってこれ見てよ!ジャン!!」
カメラの視点をショウの足元に
そこには黒毛の大型犬くらいの狼が腹を見せており降参している
「カワイイよね!下層に入ってすぐに出会って、ここまでついてきたんだよ」
ヨシヨシと腹を撫でると気持ちよさそうに後ろ足をかく
もはや野生とは程遠い姿である
『おい、あれってブラックウルフじゃね?』
『いやカナンちゃんは下層で会ったって言ってたからブラックウルフだと生息位置が違う』
『よく見たら赤が混じった黒じゃね?』
『ブラッティウルフか!?Sランクモンスターじゃねーか!!』
「お前Sランクだったのか」
「ワフッ」
人懐っこそうな瞳にブンブン振れるしっぽ
もうハスキーにしか見えねーよ
『ブラックウルフのテイム記録ってあるん?』
『確かアメリカで一匹いたはず。でもそれは小狼のときから上下関係を叩き込んでやっと生活できるレベルらしい』
『ピットブルよりやべえ犬だな』
「この子どうするの?」
「うちペット禁止だしな~」
『ブラックウルフ絶望してるやんけww』
『言葉わかるんかいww』
『なんでこんなにカワイイイッヌがSランクモンスターなんですか?』
『人を簡単にあの世送りにできるモンスターなんだよなぁ』
モンスターなので言葉がわかるのか、絶望する顔をする狼
お前意外と表情豊かだな
「ずっとこのままなのもまずいし付いてくるか?」
「オン!!」パアアアア
「か~わ~い~い~!!」
大型犬(Sランクモンスター)に飛び乗り撫でまわす幼女(16歳)
『初見ですけど・・・この配信って癒し配信ですか?』
『間違ってるけど、間違いとは強く言えないなww』
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