第12話:歩く百科事典。
僕は荷物の中から携帯型の
僕は松明を床に置いて、その上に手のひら大の鉄板を乗せた。その上に《夜泣きヤシ》から採れる油を敷いて、さらにナイフで削った薪の切れ端をたくさん放り込む。しばらくそれを煎り続けていると、香ばしい匂いが辺りに立ち込め始めた。火を消して、できた油を空瓶に注ぎ入れる。少し冷ましてから意を決して舐めてみると、味は苦くて最悪だったが、燃えた木の香りが油に移って、むせるほど芳しい《煙臭》を放っていた。
「よし、これでどうだ……!」
僕は瓶に入れたそれを持って、恐る恐る《愛撫の渦》に近づく。白い服の女の子を犯していた《愛撫の渦》は、煙が上がったあたりから動きを止めていた。周囲の状況を確認するように、触手をあっちへやったりこっちへやったりしている。僕がゆっくりと近づいて、顔……? と思わしき部分に《擬似・火香エキス》を振りかけてやると、その途端――
『ヴェッホ!!!!』
と《愛撫の渦》がむせ込んだ。そのまま『ぺっ』と白い服の女の子を吐き出す。僕は慌てて女の子を抱き止め、その場にぺしゃりとへたりこんだ。げほげほとむせながら《愛撫の渦》は去っていく。その去り際、女の子の膣に挿入されていた触手がずずずと抜かれ、女の子は「うっ……!」と苦しそうに呻いた。うまくいった! その達成感に一瞬だけ歓喜しつつも、僕は腕の中の女の子に語りかける。
「大丈夫ですか!? 意識、ありますか!?」
腕の中の女の子は服が盛大にはだけている。全力疾走した後のように荒い息を吐いて、体温も湯たんぽのようだ。女の子はその後もしばらくふうふうと苦しそうに息をしていたが、持ってきていた水をあげると徐々に落ち着いた。
「はぁ……はぁ……ありがとう、ございます……助けていただいて……」
「あ、いえいえ。そんな……」
「はぁ……こんなところだって知ってたら……絶対、来なかったのに……最低……」
災難でしたね、と僕は言いながら、水を飲む女の子の身体を適当に厚布で拭いてあげた。そこら中モンスターの体液だらけだったから。
近くでまじまじ見てみると、女の子はものすごく美人だった。理知的な、知性の高さを伺わせる顔立ちで、瞳は青く透き通っている。さんざ絶頂させられた後だからか、頬が上気して赤くなっている。身体を拭きながら、あんまり美人さんなので僕は少し照れてしまった。流石に脚の間と胸元は拭くわけにいかないので、あとは本人に任せようと布を渡そうとする。
「あの、これ――」
と、その時それが、目に入った。
女の子の胸元についている、
(つづく)
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