必要ならば登校しましょう

 アルコールやニコチン、その音の響きに特別拘りの無いのであれば、今朝の通学においてその役目はきっと、目の前の彼女が担っていることだろう。


 電車通学という最悪の手段は、その固有の物理法則によって私と彼女との衝突を生むのであるが、それはまたの話であり、忘れた頃にやって来ない話である。




 ところで一目惚れというやつは、文に起こしてみればつまらない。というのは日本語の力不足なのだろう。きっと。


 だから私は少なくとも読者の要請において、必要最低限の会話には加担しなければならないのであるが、そもそもこの場所は音を伝達しない真空空間である。とは信じてもらえないだろうからやめにしよう。




 「次降りる?」


 「じゃあ降りる。」


 そんな程度の会話しか地球上に存在しなければ元より平和であったが、深い意味なんてものがどこかに存在していて、結局エントロピーのための空きを作らないというのであれば、私はこうする。


 「たった今彼女を刺し殺した。非常に満足であった。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る