初秋、想い出す君との出会い
久石あまね
あなた
そういえば、あなたと初めて話したのは、十四年前の九月十六日だった。
あなたは突然、僕に話しかけてきた。雨の日で、室内で体育祭の練習をしていた日だった。窓から涼しい初秋の風が僕たちを包み込むように流れてきたことを今も憶えている。
それからのあなたといえば、いつもニコニコしながら手を振ってくれた。僕も手を振りかえしたけど、あなたより上手く笑えなかった。事情があったんだ。
冬になり受験勉強を頑張っていたあなたを邪魔するのは悪いと思った僕はあなたと距離をとった。今想えばそのときに想いを伝えておけばよかった。結果はどうなっていたかわからないが、告白したことを僕は後悔しないだろう。だって君のことが、本当に好きなのだから。
心地よい春の涼風が吹き抜ける体育館。涙に目を濡らすあなたは誰よりも輝いてみえた。先輩、僕をおいて行かないで。いつまでも中学にいてください。わずか一つしか歳が離れていないのに、離れ離れになる残酷さ。僕がもし先輩と同じ学年だったら。同じクラスだったら。もっと仲良くなれたかもしれない。
十四年の歳月が流れ、僕たちは大人になった。混沌する世の中に翻弄される僕たちに輝かしい未来は訪れるのか。
先輩、僕はあなたが困難ならいつだって駆け付けますよ。あなたの泣く顔は、見たくありません。
初秋、想い出す君との出会い 久石あまね @amane11
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