第9話 加速するカオス。三つ巴のロリたち

「だいたいやなー、コイツがいっちゃん最初にお縄にかかっておけば神谷明様連れてくる必要もなかったんやで? 余計な手間かけさせんといてくれへん?」

「ちょっとそこのハゲ。あんたは眼鏡の仲間なの?」


 まだ硝煙の上がるクソデカ銃をハゲ警官に向ける。


「ちゃいまんがな。俺はこいつを助けなあかん思て、あそこで公務執行妨害その他諸々でしょっ引いただけですわ」

「誰から守るのよ」

「破廉恥ホッケーマスクから」

「あ?」


 ナタが振り上げられる。


「ちょっとお待ちになって」


 ゴスロリが真っ黒いレースの扇子を取り出してパッと広げる。


「利美さん、あなたがこうなったのはお兄さんのせいじゃなくってよ。すべてはこの破廉恥ホッケーマスク&幼女の組織のせいですの」

「なんだって?」


 俺が起き上がると、ハゲがビビって飛び退った。


「なんやお前死んだんちゃうのんか!」

「ロリがこんなに大勢いるのに死んでられっか!」

「シャーラップ!」


 ゴスロリが扇子を俺に向ける。いや、なんで俺?


「あなたが利美さんのチャクラを全開放するために縋りついた団体、それがこの破廉恥(以下略)ですのよ。そしてこの能力は誰でも持ちうることができる。そう、あなたも。そしてハゲも」


 レースの扇子と閉じてピタッとハゲ警官に向けると、彼が「俺も!」と叫ぶ。


「その能力で、髪の毛増やすこともできますやろk」


 最後まで言い終わる前に破廉恥ホッケーマスクのナタがその眉間に刺さった。


「あんたたちは何者なの?」


 しのぶがクソデカ銃をゴスロリに向ける。弾は充填してあるようだ。


「私の名前は神谷明またの名をシャインス・パーク。人呼んでゴスロリ刑事。こっちのハゲは地域課巡査よ」

「地域課って……」

「あだ名が『地域課巡査』ですのよ。わたしは公安の警視正。ハゲも公安で私の部下でしてよ。そこの破廉恥ホッケーマスクさん、ナタ外してやってくださいませんこと?」


 破廉恥(以下略)がナタを外すと、「んん~」っと伸びをしてハゲが立ち上がった。


「遊びは終わりやで、破廉恥幼女!」

「二人まとめてんじゃねえよ。ハゲ」

「うるさい眼鏡」


 なんで俺、妹に怒られてる? ねえ、なんで? 俺なんか悪いことした?


「俺ら公安の仕事はこの破廉恥幼女の組織撲滅と、組織にリミッター解除された化け物を研究所に送ることや!」


 かっこよく宣言したハゲはゴスロリ刑事に後ろ頭をスリッパで殴られた。


「なに任務バラしてんのよこのハゲ!」

「いや、せやかて、こいつらテロにでも使われたらシャレんならんよって」

「だから任務バラすな、少し黙れ」


 今度はゴスロリ刑事がハゲの眉間に銃口を当てている。しかもセーフティが解除されている。そいつあんたの部下なんじゃないのか。公安ってそういう組織だったか?


 つまり、ハゲ警官とゴスロリはしのぶとホッケーマスクの組織を撲滅させるために俺に近付いたということか。化け物になるかもしれない利美のところに、俺が毎日見舞いに行くから……。そしてしのぶは力を開放しないうちに利美を組織に連れ帰ろうとしていたという訳か。


 そうはいくか。俺の大事な妹だ! そして大事な幼女しのぶだ! そして可愛いゴスロリ神谷明ちゃんだ!


 どうしよう、俺の大事な女の子たちが三つ巴になってる!!!

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