第3話 森の中の女の子 ロディオーヌ

 俺達は叫び声が聞こえた方面に大急ぎで走り始めた。ここら一帯は下級とはいえ魔物が多く生息しているらしい。その中で叫び声が聞こえるのは身の危険を知らせていること以外に考えられない。


「多分あっちの方だ!!」


 すると木と木の隙間から大きな魔物と傷を負っている女の子の姿が見えた。魔物は女の子に少しずつ近づいていき手に持っていた鉄の斧を振りかぶり始めた。


「やめろーーーー!!!!」


 俺は雫と共に唐突に会得した魔法を女の子に近づく魔物に向かって放った。


「!?ちょっ!あの子に当たったらどうするの!!」


「仕方ないだろ!危なかったんだから!」


 俺と雫が揉めあっていると女の子が立ち上がり二人のもとにやってきた。


「あ、あの助けてくれてありがとうございます。ごめんなさい」


「謝らなくて大丈夫だから、怪我とかはない?」


 その女の子は魔物によりボロボロにされたとは思えないほどの汚れた服を着ており体中傷だらけだった。恐らく見た目的にも俺達と同じ17歳くらいだろうか。


「だ、大丈夫です。ごめんなさい」


「謝らなくて良いんだよ・・・・」


「私に任せて。怖かったよね!名前なんていうの?」


 雫は女の子の頭を撫でながら聞いた。


「ミリア・ロディオーヌです」


「ミリアちゃん大丈夫?顔色悪いけど。病院行く?」


 するとミリアはいきなり雫の方を向きどこか絶望した様な顔し泣き始めた。


「!?大丈夫?」


「ごめんなさい」


 そういうとミリアは泣きながらどこかへと走り去ってしまった。


「待って!!」


 呼びかける頃にはミリアは随分遠くにいた。


「なんだったんだ?」


「わからない。でも何かありそうだよね」


「確かに。まぁ今はとりあえず依頼の下級魔物も倒したし1回ギルドに行くか」


「うん!」


 陽翔達はギルドからマルール大森林に向かう時に貰っていた魔物収納小型バックを使って魔物をしまいギルドに向かった。



   @   @   @   @



「あ!陽翔さん、雫さんおかえりなさい!どうでしたか、初依頼は!」


「メリアさん、マルール大森林で魔物に襲われてた女の子がいたんですよ」


「!大丈夫でしたか?女の子は!」


「はい!もちろん。ちょうど依頼が下級魔物の討伐だったんでついでに助けてきました」


「それはありがとうございます!ではバックの方を!」


 陽翔はバックを渡すとメリアは青ざめた顔をしていた。


「陽翔さん、これ下級魔物じゃないですよ!!!」


「え?」


「これ!上級魔物です!!!!」


「メリア、陽翔が一発で倒してたんだからそんなことないよ!」


「いやいや、これは稀にいる敵対的なオークです!!」


 陽翔達の周りではざわざわとしていた。


「おい、兄ちゃんすげぇな。若いのに。上級のオークなんてBランク以上じゃないと死ぬって言われてるのに!」


「Bランク・・・・?」


 陽翔がそう聞くとメリアは丁寧に説明し始めた。


「あ、すいません!そういえば大事なランク制度を話していませんでしたね!冒険者登録をした人にはランクがつきます。ランクは下からF、E、D、C、B、A、S、SS、となってます!陽翔さん達はまだ登録したばかりなのでFランクです。B以降は基本聖騎士の隊長だったり勇者パーティーのみなさんなどがいます!それで!!陽翔さん達は!推奨階級が4つも上の魔物を倒したんですよ!!」


「確かに、凄いことをしたかもしれないな」


「とりあえず今回は上級魔物の依頼として受理します。後日また来てください!」


「わかりました」


 陽翔達は依頼を終えギルドをあとにした。


「雫、そういえば日が暮れてきたけどどこで寝る?」


「どっか宿があるんじゃない?」


「あれとか?まさに宿って感じのがあるよ」


「行ってみよ!!」


 二人は宿らしき建物に入った。


「あら、いらっしゃい!!」


「すいません、部屋って空いてますか?」


「空いてるわよ!一部屋。さぁほらこちらへ」


「よかったな!空いてたぞ!!」


「一部屋・・・・?」


「一部屋!???」


 陽翔と雫は驚いた顔をしていた。しかし店主は笑みを浮かべて二人を部屋に連れて行った。


「はいはい、早く入りなさい!それではごゆっくり〜!」


 店主は二人を無理やり部屋に入れ込むと扉を締めそそくさとどこかに行ってしまった。


「ま、まぁ、今日だけ我慢すればいいしな」


「え、ええそうだね」


「明日は勇者について聞いてみるか。街の人に」


「そうしよう!じゃあ私もう寝るね!」


「あぁ、おやすみ」


 「小さい頃は陽翔とよく寝てたのになんで緊張するの!」と雫は思った。雫と同様に陽翔も「なんでこんなに緊張するんだー!」と思っていた。二人は互いにそんなことをふとんの中にくるまりながら考えていた。しばらくすると二人は安心しきった顔で眠りについた。



◆◇◆



「おい、ミリア。今日何をしていたんだ」


「ごめんなさい」


「ふざけんなよ。喋るな。役立たず」


 そう言って男はミリアを蹴り飛ばした。


「その辺にしといたら?使い物にならなくなるわよ」


「あぁ、確かにそうだな」


 男と女はそういうとミリアを薄暗い部屋に残したまま去っていった。

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転生神様の地球再星計画〜かつて暮らしていた星で魔王を倒す勇者の手助けをします!〜 丸出音狐 @maruimarusann

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