第11話 尾行不可

僕は学習コーナーに戻った。


「ゆき、どうしたぼぉ〜として

どうだった上手く声掛けられたか?」


「いや、声掛けられなかった。」


「やっぱりな、ゆき、女の子に対しては

意外に小心物ってゆうか純情だよな」


「まぁ、それもあるけど、

拓也、あの子、何と年上っぽい」


「それは無いだろ、そもそも歳なんか

聞けてないんだろ?」


「歳は聞けてないけど、車運転して帰ったから

一つ上以上は確定だよな、運転免許取るには18以上だろ?」


「マジで?18以上か!分からないもんだな

俺、絶対年下15〜16だと思ってた。」


「俺もそう思ってたんで、

自転車置き場で声掛けようってしたから追い付かなかった。」


「でも、受験生でも高校生もないとなると

長い夏休みって感じじゃないだろうから

またいつ来るか分からないな」


「そうなんだよな、前回から2週間来なかったもんな〜夏休み終わっちゃうよな、

また会えるかな?信じて待つしか無いけど」


「まぁ車で帰られちゃ、歩きの俺達には

尾行出来ないしな」


「尾行って人聞き悪いな、

明日から歩きの拓也には悪いけど、

せめて自転車で来るよ」


「そうしろよ、車には追い付かないまでも

行った方向ぐらいは分かるだろうから

でも、こんなには夢中なゆきには悪いけど

俺は、もう会えるとは思えないぞ」


拓也の言う通り、合理的に考えれば

会える確率は低いはずなのに

何故か僕に悲壮感は湧かず、

また会える予感しかなかった。









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