決戦の朝

ミハナ

7話目 決戦の朝

アイツは昨日別れ際に言ったように僕を朝、登校に誘いに来た。

時間はいつも通り、でも僕達だけがいつもと違っていた。固く握りこぶしを作る。ごつんとぶつけ合わせ、ぎこちなく笑い合う。二人とも緊張していて上手く笑顔を作れなかった。

アイツが言う。必ず守るから、お前を。

僕は言う。もう、弱くないよ、逆に守るから。

そう言えば、頼もしいなとアイツは吹っ切れたように力ない笑みを見せ、パンっと両手で頬に喝を入れた。柔らかな頬が赤く染る。

痛そうだ、と手を伸ばしたら逆に掴まれた。

繋いだまま、行こう、見せびらかしてやると言うアイツに僕は呆気に取られ、釣られて片手で頬に同じように喝を入れる。

大丈夫、一人ぼっちにはしないから。

咎めを受けるなら、共に隣で。

咎を背負うじゃないか、そう言えばアイツは、やっぱりお前の方が昔から強いんだよ、とからりと笑って見せた。

その笑顔は今まで隣で見てきたどんな笑顔よりもキラキラと輝いて見えた。

やっぱり僕のヒーローは、ずっとアイツだった。

それだけは変わらなかった。

二人で固く手を握りあい登校の道を辿っていく。

いつも通りだけど、いつもと違う朝だった。

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決戦の朝 ミハナ @mizuhana4270

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