第8話

模擬戦2日目。この日から模擬戦は1対1の対戦となる。


私の対戦は午後なので、午前中はミーシャ先生と一緒に見学して私の研究に取り入れられそうな事柄を探すことにした。


私はスキルに関してはあまり興味がなく、他の人のスキルを見るのは初めてだったため思いのほか刺激を受けることができた。


午後休憩には私とミーシャ先生でおかずを交換するという女子らしいことをしてみたのだがミーシャ先生は外でのお昼にスパゲッティを持ち込むというつわものであった。


「スパゲッティがすきなのですか?」


と聞いてみたのだが帰ってきたのは。


「ただ楽だからデス。私の食事はほとんど外食かスパゲッティですよ」


と満面の笑みを浮かべていた。


私はこんな研究ばかりするような大人にはならずにまっとうな家庭を築こうと決意するのであった。


昼食時にそんな一幕がありながらも模擬戦は順調に進み、お昼の半ばを迎えるころに私の出番が来た。


ミーシャ先生は相変わらずやる気のないかんじで


「ではヒビキ。頑張ってください」


と送り出してくれた。やる気は出なかったが緊張はほぐれた感じがあったのは内緒だ。


相手は戦闘学校の男子で、槍を二本構えていた。対する私は大盾と鉄の棒というスタイルだ。


前回はメイスを使っていたのだが、バトルロイヤル中にメイスが頭に当たり緊急搬送された事故が発生した。そのため、スキルが【メイス】の戦闘学生以外のメイスの使用は禁止されてしまった。


まあ、私はメイス愛好家ではないので片方の手で扱える武器であれば何でもよかったのだが、相手が二槍流?で長ものだったため鉄の棒にして正解だったかなと思った。


そんなことを考えていると相手の男子から声をかけられた。


「見覚えがねぇが【盾】のスキル持ちかぁ?よかったら俺とダンジョンに潜らねぇか?」


「あいにく私はダンジョンに潜るつもりのない研究棟の学生なのでお断りです」


「研究棟にいて大盾使ってるなんてダンジョンに連れて行ってくださいって言っているようなもんだろ」


私は男子の言葉をよく吟味してみた。すると確かに戦闘でけがを負わないように盾を使い始めたが、私の頭の中には戦闘を常に想定していることに気付いた。


私はいつそんな風になったのかと思い直していると、犯人はミーシャ先生だということに気付く。件のミーシャ先生を見つめてみると私と目が合ったことに気付いたのか、呑気に手を振っている。


私は、この戦闘が終わった後でミーシャ先生に問い詰めることを決意した。

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