第6話

観客席パーティー???視点


「あのタンクのねーちゃん。いきなり盾を滑り込ませていたけれど狙ってやってたのかな?」


「たぶんそう。ちなみにあの人のスキルは【念動力】。どうやったかは分からないけれど【隠形】のスキルを見破ったように見えた」


まだスキルを得たばかりに見える高校生の双子の男女が意見を交わす。その光景を見ているのは屈強な肉体を持った男と細マッチョ体系の男、グラマラスとは言えないが長身の女性だ。


その中で長身の女性が口をはさむ。


「【念動力】のスキルでなぜあんな盾を使っているのかしら?」


双子の女子が答える。ちなみに男子の方は首を傾げて何やら考えていた。


「だれもがスキルをつかえるからと言ってダンジョンに潜りたいとは限らない。まあ盾を使っているということは安全第一でダンジョン攻略を考えているのかもしれないけれど・・・。それにしても注目すべきは【念動力】の練度の方。あんな投げナイフを投げるといった推進力なしに、しかも関節を狙ってすべて命中させているのは異常だと思う」


その言葉に屈強な方の男性が言葉を返す。


「それはそうだな。何か情報は仕入れていないのか?」


双子の少女はパーティー皆の注目を集めている。おそらくではあるが情報収集は彼女の役目なのであろうことが伺える。少女は気にした様子もなく淡々と答える。


「あの女性は研究棟で2年もの間、魔法について研究されている。魔法の代償は酸素濃度の低下。パーティーを組むとしたらそのあたりを注意しないとあの人にパーティーの生死を預けることになる。2年も研究されているのは、多分【念動力】を持った人が少ないのが原因だと思う」


「それでリーダーはあの人を勧誘するのか?」


先ほどまで何か考え事をしていた双子の男子が細マッチョに声をかける。


「今のところは有力候補ってところだな。話に応じてくれるのであればできるだけ早く声をかけておきたい。流石にあの練度で大盾まで使いこなせるタンクをそうそう見逃すわけにはいかないなぁ」


現環境ではタンクは貴重な存在である。魔法使いの数は多いが好んで盾を使う魔法使いや盾使いのスキルを持つ人間は少ないのだ。


リーダーと呼ばれた人間が可能な限りはなくアポイントをとりたがっていたのはこのことが関係している。


ちなみにダンジョンへの入場は6人が限度とされている。なぜか6人以上ダンジョンに人は入ることができない。そのためギルドがダンジョンへの入場を管理している。ただし、ボスが攻略されたダンジョンに関してはこれは当てはまらない。詳しい話はまた後日行うとして。


5人は話を終えたとばかりに揃って席を立ち、観客席から出ていく。


出入り口から先ほど話題にあげた響が先生の元へ向かっていくために観客席に向かっていく途中ですれ違ったことに気付くことなく。

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