(8)お似合いカップル

綺麗な湖のほとり。

そこは、安らぎを感じる美しい景色が広がっていた。


「はぁ、はぁ、ここまで来れば、もう大丈夫だ」

「そうだな」


二人は、立ち止まって木陰に入った。

マルは、改めてバツの手を握り締めて言った。


「バツ! 俺がお前を一生守る! だから大丈夫だ!!」

「あ、ああ……よろしく頼む……」


いつになく弱々しいバツ。

バツは、マルの兄達の姿を思い出しては、体をぶるっと震わせた。


「……ったく、怖い思いをさせちまったな……悪かったよ、バツ……」


マルは、バツを自分の胸に抱き、バツの頭を優しく撫でてやった。


****


しばらくして、落着きを取り戻した二人。

突然、クスクスと笑い始める。


「なぁ、マル。俺達ってさ、戦場だけでなく、私生活でも互いに守り合わないとダメみたいだな」

「くくく、確かにそうだな……ってかさぁ、バツ。お前って、ぐいぐい来られると意外とダメなのな」


「うっせぇ……てか、確かにその通りかも……マジ怖かったぜ……思い出しただけでも、ほら、鳥肌」

「ぷっ、あははは。意外な弱点見つけたぜ」


二人、大笑い。

そして、再び、静けさが戻った。

水鳥たちの鳴き声だけが響く。


見つめ合う二人。

バツが、口を開いた。


「マル……俺、誓うよ。お前を一生守り、幸せにする。お前以外には見向きもしない」

「ふっ、俺も誓うぜ、バツ。お前を守り通す。絶対に誰にも渡さない」


ゆっくりと顔が近づいていく。

そして、唇が重なる。

愛の誓い。


と、その時、水鳥たちが空高く飛び立った。

まるで、二人を祝福するかのよう。


二人は、手を取り合い、湖畔を走り出した。


「好きだぜ、マル!! いいか、ちゃんと俺についてくるんだぞ!」

「好きだぜ、バツ!! お前こそ、もたもたするなよ! おいていくからな!」


ついに結ばれた二人。

こうして、互いを守りあっていくと誓った人族と猫耳族のカップルは、いつまでも、愛を語り、愛を紡ぎ合っていくのであった。



*** おしまい

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猫耳男子にプロポーズ いちみりヒビキ @shirakawa_hibiki

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