悪い奴-社会に包囲されていく男

ミツアキ

第1話 悪党の逮捕

大悪党がついに逮捕された。


彼は、方々で暴れまわり社会に暮らす多くの人々に迷惑をかけた。

人々は、彼のせいで嫌な気持ちになったり、悲しい気持ちになったりした。


人々は怒り、彼を逮捕することにした。


大勢の警官が、彼の家にやってきた。

警官は、彼の家のドアを蹴破り突入する。


警官たちは土足で入ってきたので、彼が部屋に敷いていたお気に入りの絨毯は踏まれて汚くなった。


彼は、逮捕しようとする警察官に必死になって抵抗した。彼の部屋では、大勢の男がつかみ合ったり、殴りあったり、

吹っ飛んで倒れたりした。激闘だ。


本棚に警官が激しくぶつかって本が床に落ちた。彼の魂と共鳴し、彼の友人となっていた本は、やってきた

警官の誰かに踏まれてページがぐちゃぐちゃになってしまった。


彼が、凝って集めた綺麗な色のグラスも、警官の誰かがぶつかったので食器棚から落ちて割れてしまった。


彼は部屋の壁に、少し奇妙でへんてこな絵を飾っていた。この絵は、彼自身も気に入っていたわけではなく

少し奇妙だと思っていたのだが、死んだ祖母からもらったものだったので、飾っていたのだった。

その絵も床に落ちて、誰かに踏まれて額が壊れて破けてしまった。


激しいたたかいのすえ、警察官たちは彼を床に倒して抑えつけ、腕を背中側にねじって手錠をかけた。


人々は、彼が逮捕されて非常に喜んだ。彼のために迷惑を蒙った人はもちろん、直接に迷惑を蒙ったわけでない人も

喜んだ。

人々は、彼を捕まえた警察官に惜しみない称賛を送った。

警察官たちの心は、職務の達成感と正義の心で満たされた。

人々も、警察官も彼が逮捕されて、大いに満足だった。


彼は、多くの犯罪を犯しており、その証拠もそろっていた。

彼は、法廷に連れていかれた。

人々は、この悪党にどんな罰が下るのだろうと注目していた。人々は重い罰を望んでいた。


裁判長は、何故このような社会の迷惑になるようなことをしたのですかと彼に尋ねた。

貴方の行為によって、多くの人が迷惑をして、悲しい気持ちになったのですよと言った。


彼はこたえた。

私も嫌な気分だったからです。


それはどういう意味かもっと詳しく話しなさいと裁判長が彼に言った。

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