第4話 やったぜドロップアイテム
小学生以来の三角座りで呆然と地平線の彼方を眺める。ひんやりと冷たいスライムとじわじわと溶け出すパンツ…。
相棒はもうお前だけだよ、スライム…。
現実逃避も甚だしく、スライムに話しかける。スライムからすると餌としか思われていないかも知れないが、もうそれでも良いと考えていた。
綺麗な海だな…最後に入っておくか。
遠い眼差しで地平線を見つめ、海に入るその姿はもう全裸であった。
冷たくて気持ちいいな。スライムも水を吸って…ん?
スライムが海水をすってまるで肉襦袢のように膨れ上がっている。そして、先ほどからスライムが嫌に暴れ始める。
スライムどうしたんだ。今上がるからな。
急いで浜辺に戻るが、水を吸ったスライムはかなり重く、海岸につくやいなや匍匐前進のようにしか歩けなくなってしまった。
重い…これはやばいぞ…。
砂と海水を吸ったスライムが擦れ、スライムの一部がどんどんと禿げていく。立ち上がれる頃にはスライムが剥がれ落ち、スライムだった物で道ができている。
そんな…、嘘だろ…。完全に裸じゃねぇか!!
すっぽんぽんの体を覆い隠す物はなくなり、太陽が燦々と肌を照りつける。ジリジリと肌が焼けてくる、そんな事が肌で感じられる。
ここに来てからの唯一の友達(思い込み)がいなくなった悲しみから、スライムだった物をかき集めお墓を作る事にした。
出会った時に持っていた、臭い流木を墓に見立て埋葬した。埋葬した時、何かが天に昇っていき、埋葬した場所が光り輝き出した。
さっきまで何もなかったのにこれは…。
そのスライムを埋めた墓にはスライムは跡形もなくただ一本の瓶が埋まっていた。
瓶のラベルには元いた世界では見たこともない言葉が記載されていたが、なぜか自然と読めていた。
エリクサー…ってかいてあるな。文字が読める…もしかすると…これが能力なのか…?
ひとりぼっちに対して、文字が読める、もしかすると話ができるそんな能力が与えられたのかも知れないが、そうじゃないだろぅと言いたかった。
やばいやばい、いきなり伝説のアイテムかよやったぜ!
一向に何も進んでいないことを忘れるかのように狂い喜んだ。そして、浜辺で脱いだ靴は流されて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます