……おしまい? 本当に?

 ああ、疑っているわけではありませんよ。私がただ単に聞いてみたかっただけなのです。

 あなたは今の話はハッピーエンドとお思いで? …そうですか。

 私はそうは思いませんね。ハッピーエンドに、悪者はいらないのですから。


 …そう言えばあなた、この物語の続きを知っていますか。今の終わり方では不自然でしょう?

 そうですか、知らないのですか。嘘は良くないのですがね…。

 知らないなら、私が教えてあげましょう。

 レインはその後、村へ戻って絶望するんです。なぜなら、村はもうによって滅ぼされていたからです。

 …おやおや、どうされました? 顔が強張っていらっしゃいますよ。

 「そんなこと言わないで」ですか。

 いいじゃないですか別に。私は事実を言ったまでですからね。勝手に怒らないでください。


そもそもの話、「怪物」とは何者でしょうか。…作中の怪物の村に出てくるモノたち? まあ、間違ってはいませんね。

 そのことではなく、私は「レインの目を奪った怪物」のことを尋ねているのです。それについては無回答ですか?

 そうですか。


 物語は、語る本人の意思に必ず従うとは限らないものです。それどころか、冷酷無慈悲な言葉で、私達に傷を付けに…時には、殺しにかかってくる。…そう、それはまるで、怪物のように。

 だから物語る人は皆、命懸けなのです。死ぬ覚悟が必要なのです。

 …もしかしたらもう、私もこの世にいないのかもしれない。「物語」という怪物の胃の中を永遠にループし続けているのかもしれない。

 そんな恐怖と戦い続けることへの覚悟も…ね。


 これから私が語るのは、狂った少女が絶望するまでの…おっと違う、この物語が「ハッピーエンド」を手に入れるまでのお話です。

 観客は、…あなたぐらいしかいませんが、どうぞ、ごゆるりとお聞きくださいませ……――

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