第11-7話:タカフミ、耳打ちする

 アユーシが呆然としていると、今度はタカフミとマルガリータがやって来た。

「タカフミさん!」

「シュリア!? なぜここに?」

「ジョセフィーヌさんにお願いして、連れてきてもらいました。

 あと私、アユーシなんです」

「へっ!?」


 アユーシは、コロニーの窮状を2人に訴えた。

「どうしましょう、タカフミ?

 使命宣言の早々に、『虐殺カウンター』が+3万人ですよ!」

「司令を説得して、助けてもらいましょう」


          **


 ポッドの前でマリウスに追いついた。

 コロニーの救助を依頼する。


「アニク様は、クロードの民を大陸に受け入れるとおっしゃったんです。

 惑星テロンまで、運んで頂けませんか?」

「コロニー破壊を命じたのに、その言葉を信じるのか?」

「それは・・・」

 アユーシは口ごもる。


「クロードの民をどう救うかは、テロンの内政問題だ。救助も然り。

 厳しい言い方になるが、君たちは、輸送コンテナの略奪者だ。

 私たちには、救う理由がない」


 アユーシはなおも訴える。

「勝手なことを申し上げて、すみません。

 でも、でも、皆さんが来なければ、

 いつまでも、変わらなかった。


 新しい月を上げなければ、

 アニク様が焦ることもなかった。


 クロードの民が、死に瀕することも、なかったはずです!」

 最後の方は、叫び声になっていた。


「可哀そうではあるが・・・

 仮にエスリリスに乗せたとしても、数百人が限界。

 そんな大人数では、養うのも、無理だ」

「そんな・・・」


 マリウスにすがりつこうとしたアユーシを、タカフミが押しとどめ、代わりに前に出た。


「司令。さきほど聖墓を見ました。

 帝国政府は、彼らを見捨てた。

 でも、彼らを守って、貴方に伝言を伝えたのは、クロードの民です。

 それに、報いませんか」


 マリウスは右頬を撫でた。内心では激しく葛藤していた。

「それは、そうなんだが。

 しかし・・・

 私情でそんなことをするわけには、いかない」


「私情じゃなければ、いいですよね?」

「?」


 マリウスに耳打ちする。


「自分に案があります。

 ごにょごにょごにょ」


「!」

 マリウスは、目を見開いた。

「なるほど・・・」


 また右頬を撫でて考える。そしてタカフミを指さした。

「それ、いいな。採用!」

「ありがとうございます!

 では早速、建設母艦カーレンを、もう一度、呼んでください!」

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