第8-15話:停戦交渉③

「マルガリータ、他にあるか?」

「もう二度と、攻撃しないでください。

 攻撃も、拘束も、ダメですよ!」

「これは双方向の合意だ。あなた方が攻撃しなければ、私たちも攻撃しない」

「よかろう」


「では、お互いに、マルガリータとあなたへの包囲を解き、停戦することで良いな?」

「待て」

 アニクが止めた。


「我らの首都を破壊した代償を払ってもらおう」

「そちらが先に攻撃したのだ」

「攻撃ではなく、威嚇したことは認めよう。

 空港や交通網が焼かれ、逃げまどう市民には死傷者も出ているのだぞ。

 明らかに、お前たちの攻撃は過剰だ。

 しかるべき代償を、要求する!」


          **


“うーん、ちょっと過激に焼き過ぎましたか”

 とマルガリータが考えていると、ジョセフィーヌから通話が入った。

 交渉の場に出していた画像を、いったん消す。


「ちょっと先輩、今、交渉中で忙しいので・・・」

「大局を見るんだ。マルガリータ。目の前の事案だけではダメだ」

「は? どういうことですか・・・?」


          **


「はいはいはい!

 そういうことでしたら!」

 マルガリータの画像が復帰。手を挙げている。


「代償の話をされるのでしたら!

 過去1千年間に横取りした輸送コンテナのお代、まとめて請求します!」

「うっ」

「延滞料もつけて請求します!

 あと、ご自慢の宇宙エレベータ、

 あれも、うちのケーブルを、勝手に使っているんですよね?

 あれも返してもらいますよ!」


 アニクは考えた。

 むしろ、過去の略奪はなかったことにして、停戦合意した方が、有利か。

「ふむ。

 『神託の儀式』への協力、攻撃・拘束の禁止、今後・・の略奪停止。

 過去の略奪や損害は不問に付す。

 そして、100年後に『新しい月』を移動させること。

 これらが全て含まれていれば、良い」

「では、マルガリータ。文書化してくれ」


          **


 テロンガーナ現地時刻、15:59。

 帝国・探索艦隊と、テロン政府との間で、停戦合意が成立した。



✼••┈┈••✼ ふろく(第8章) ✼••┈┈••✼


第8章で登場した「おやつ」や、作品イメージなど、x(旧ツィッター)でも紹介しております。

「創作への刺激」的なモノゴト、美味しいもの、天使、猫などを、ときおり呟いております。お時間ございましたら、ちょっと覗いてみてくださいませ。

https://twitter.com/margari_gaburi


【これまでの投稿】

時屋のどら焼き

堂島ロール

第2-6話に登場「メロンサワーのプリンと生クリーム乗せ」

マリウス&マルガリータ(着物バージョン)、など

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