第8-12話:追跡⑦ー合流

 セネカが、鎧を操作して、扉の前の安全を確認した。

「人が歩くのと同様の圧を加えました。反応なし。大丈夫です」


 堂島が扉に歩み寄る。

「ギリクのかたきは、私がとる!」

「いや、俺死んでないけど」

「ちょっと? 扉ならカッターで・・・」


 堂島、扉に向けて正拳を突き出した。

 バキッという音を立てて、拳が扉を貫通。

 向こう側から、鍵を外して扉を開ける。


「お前・・・サイボーグか何かなの?」

「ふんっ! 空手で鍛えてますから」

「だからって鎧のパワーが上がるわけじゃないぞ。どういう仕組みなの?」

 堂島の周囲では、物理法則と論理が破綻しているらしい。

 実は特異点なのかもしれない、とタカフミは思った。


          **


 扉の先には、大きな空間が広がっていた。

 城の地下で、いくつかの間道が合流しているようだ。


 そこに、軍人とメイドの2人組がいた。

 音に驚いて、こちらを振り返る。


「シュリア、逃げて!」

 メイドが短機関銃を構える。

「シュリア!? シュリアなのか?」

「あ、タカフミさん!」

 アユーシは、コロニーでタカフミに会っている。


 名前を呼んだところを見ると、2人とも相手を知っているらしい。

 そう判断して、チャリタはひとまず、銃口を下げた。

「お知合いですか?」

「タカフミさん。星から来た人たちの、使節だ」


 タカフミは、両手を上げて武器のないことを示すと、アユーシに近寄った。

 そこで疑問に思った。シュリアは軍服姿だが、胸の盛り上がりを隠していない。

 神託の月で会った時は、こんなに大きくなかったはずだが・・・

 いやいや! 今はそんなことは後回しだ!


「時間がないんだ、シュリア! 父上に、アニクに、会わせてください。

 停戦交渉を行いたい。『星の人』が、休んでいるうちに!」


          **


 一行は、チャリタに案内されて、城に向かう。

 腕輪でギリクの救助を要請し、堂島を付き添いとして残した。


 城に通じる、地下道の出口には、歩哨が立っていた。

 歩哨はシュリアとチャリアを認識したが、タカフミとセネカは遮った。

 当然の対応である。


「彼らは使節だ。至急、アニク様に会わせたい。取り次いでくれ」

 すぐに、アニクの従僕がやって来た。

 城の中、謁見の間に通される。


「タカフミどのか」

 タカフミ、アニクに一礼。

「停戦したい。艦隊司令と会話してください」

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