第2-3話:戒め

 周りをきょろきょろ眺めていたハーキフが、小柄な隊員にぶつかってしまった。

「あ、すみません!」

 ハーキフは体はいかついが、根は真っすぐなので、素直に謝った。


 それを見ていたギリクは、ちょっと意地が悪い。

 白い肌に金髪で、黙っていればノーブルな顔立ちなのに、ついつい皮肉や攻撃的な言動で、相手を追い詰める悪い癖があった。

「緑の葉っぱが邪魔だな」

と、小柄な艦隊派をからかう。


 すると、隣にいた、背の高い艦隊派隊員が、むっとした表情になった。

 身長は185㎝くらい。なんとハーキフより高い。

 それでいて、体はほっそり痩せているので、なんだか棒のように見える。

 小柄な隊員を守るように、ギリクの前に立つ。


「おい、やめろ」

 とブリオがギリクを制止した。ブリオはギリクよりも更に背が低い。

 そんなブリオとギリクを、「棒」は見下ろすと、ぼそっと言い放った。

「おや、こんなところに、猿が」


 機動歩兵たちは息を呑んだ。艦隊派が乱暴な言い方をしたことに、驚く。

 両グループの間で、俄かに緊張が高まった。


          **


「誰が猿だって?」

 ギリクではなく、ブリオが前に出た。

 鍛え上げられた体躯に、やや横幅のある体形で、猪のような迫力がある。

 本人は背が低いのを気にしている。見下すような視線に、カチンと来てしまった。


「どこかから声が聞こえるな?」

 首を振って、ブリオが見えないふりをする。

 目にもとまらぬ速さで、ブリオは「棒」の襟首を掴み、頭を引き寄せた。

「おい、よせよ」

「こらっ! ソティスを放せ」

といった声が周囲からあがる。その時、

「うちの隊員に何か用かい?」

 後ろから、声をかけられた。


 声の主を振り返り、機動歩兵が驚きの声を上げる。

「い、戒めの?」

「銀髪!?」

 緑のジャケットに、背中まである銀髪をなびかせた士官が、立っていた。

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