第1-4話:半舷上陸

 タカフミは、マリウスと相談しながら、計画を立てられると思ったのだが、

マリウスは「鍛えてくる」と言い残して、ジルと一緒に行ってしまった。


 2人が連れ立ってトレーニングエリアに向かうのを見て、マルガリータが

「じゃあ、私が手伝ってあげますよ」と言ってくれた。

 こういう時のマルガリータは、天使に見える。


 マルガリータの作業場兼倉庫に移動。「情報軍」の表札がかかっている。

 ここで、今から訪問する駅の情報を、空中ディスプレイに表示させた。


 駅は、星間航法で安全に旅(ワープ)することを目的に、設置されている。

 管制、掃海、エネルギー(の蓄積と供給)、そして「リレー」が、基本機能だ。


 リレーは、ワープゲートを生成し、貨物や情報(通信)を次の駅に送る機能。

 これにより、星間航法エンジンを持たない物資も、銀河ハイウェイを移動することが出来る。

 「H」の形をしている駅の、長辺部分に、リレー機能が実装されている。


 更に、駅には宿泊施設がある。

 エネルギーを補給する間、艦船の乗組員が、上陸して休めるようになっている。


 タカフミは、駅の仕様情報を見て、驚いた。

 宿泊施設はホテル形式で、独立したバス・トイレも備えた個室になっている。

 写真を見ると、かなり快適そうなつくりだ。

 ホテルの周りには、青空の下に、ショッピングモールや公園まである!


 一方「地球駅」は、小惑星を掘り進めた洞窟に、作業用の詰所を置いただけ。

 その格差に、タカフミは愕然としてしまった。


「だって地球駅は、突貫工事の簡略版ですもの」

 とマルガリータがこともなげに言った。

「さあ、それより宿泊場所を割り当てましょう。

 艦ごとに同じホテルにまとめた方がいいでしょうね」


 この他に、通常は三直交代勤務の隊員を2つのシフトに分けたり、ポッドでの輸送スケジュールや発着場所を定めたりした。

 駆逐艦キスリングと砲艦タキトゥスでのシフトは、各艦に任せることにした。


          **


 こうして、半舷上陸許可が布告された。

「左舷、右舷の順で、それぞれ2日間の半舷上陸を許可する。

                探索艦隊司令 マリウス」

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