最終話 勇者と魔王
私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ…
今日、私の好きな人が死んだ。
死因は私を庇いトラックにはねられ即死した。実際には私の同僚が彼を恨み突き飛ばしたせいなのだが、私なんかを庇わなければ彼は生きていた。だから、彼が死んだのは私のせいなのだ。
会社の先輩や病院の方が相談に乗ってくれたが彼がいない世界に興味など無かった。
そして、彼の死から一週間足らずで私は自殺をした。首を吊り苦しみを自分の罪とし私の視界は真っ暗になった。
「目覚めなさい」
その声と共に視界が明るくなった。目の前には現実世界では見たことの無い美しさの女性
「こんにちは。
背中の翼は何なのだろうか?
「私の名前はサラティナ、女神です。貴方はあの世界に絶望し自殺をしてしまったようですね」
彼女はへらへらと笑いながら言う。
「うーん?反応が無いようですね。なら、やり方を変えましょう」
反応を示さない私に彼女はある提案をした。
「今から私の条件を叶えてくれれば、貴方の愛しの彼に会わしてあげますよ」
「…ッ‼」
「ようやく反応を示しましたね」
彼女はニヤリと笑った。が正直そんな事はどうでもいい。今は
「それは本当なの?」
彼女の言った事が本当なのか確かめるのみ
「えぇ、勿論。その反応は承諾と見て良いですか?」
私は頷く。
「ありがとうございます。では、貴方には今から魔王を殺してもらいましょう。大丈夫、私の特権で勇者に貴方はなるのですから…」
「そんな事に興味はないわ。さっさと、その世界に飛ばして」
私の使命は魔王を殺すこと自分の状態など興味ない
「…えぇ、分かりました。では、いってらっしゃい」
私は光に包まれた。待ってて下さい先輩
「はぁ、くだらない。あんなしょうもない理由で命を捨てられてはこっちの仕事が増えるばかり。だから、苦しめモブが」
ふう、毒も吐いたことだし。君たちにはあんな退屈なモブの話では無く面白そうな彼の話を見よう。
「魔王様、勇者がそこまで来ております」
「分かった。ありがとうレン」
「いえ」
俺が勇者を殺し大体3年が経過した。その間、俺は魔王になりレンの修行や世界の殆どを入手した。
ただ、俺は退屈を感じていた。あの強い人間と戦った時の高揚感、あれは元の世界では味わえない感覚だった。だが、あの感覚は一瞬で終わってしまった。だから、俺は考えたのだ。勇者を作ってしまえばいいと。俺と互角に渡り合える可能性のある勇者、それを人類を追い詰めるという形で作り出した。
作戦は成功し今俺の下に勇者が突っ込んできている。
「アシュ君、来たよ」
サチが俺に言う。精霊の扱いが上手くなったサチはどうやら勇者の位置が分かっているようだ。
ガシャン‼とガラスを割り1人の少女が入ってきて、すぐに俺の首を取りに来る。
だが、ガキンッ‼と剣が防がれた。
「よく反応出来たな、サチ」
サチが精霊で防いでくれたようだ。
「でも、必要なかったでしょう?」
「まぁな」
俺の手には
「…‼」
少女は少し下がった。見えない盾の存在に驚き、反撃を恐れたのだろう。
「お前が勇者だな」
俺は少女に近づいた、細身で小柄かな体格をしているが、あの光を纏っている剣、間違いない。
「さぁ、お前の力を示…」
俺がセリフを言い終わる前に勇者が突っ込んでくる。
「話を聞かない奴だな」
結局はサチの精霊により防がれる。しかし、
「アシュ君、気を付けてさっきのより強くなってる‼」
ギリリリと音を立て精霊たちを切り裂く。その剣を
「ほう、俺の剣が喰らう速度より光の方が早いのか」
「…ね」
俺が関心していると少女は何かを言っている。俺は耳を澄ました。少女が言っていたのは…
「死ね‼」
ただその言葉を連呼していた。
「そんな恨みを買った覚えは…」
無いとは言えないな。だって、ほとんどの世界を滅ぼしたのだから。
だが、彼女の言葉をさらに聞いているとき違和感が出てきた。それは、
「あの人に会う為に‼」
という言葉だった。この言葉で考える事が1つある。
死んだ彼に会うためなら自殺なりなんなりすればいいと。だが、彼女はそれをしていない。
自殺出来ないよう何か細工がされている?いや、そんな魔法を聞いた事が無い。
そもそも俺は国を吹き飛ばしている為、恋人が死んだ場合巻き込まれているはずだ。遠距離恋愛という線もないだろう、何故なら俺が残しているのは本当に小さな村だからだ。小さな村にわざわざ彼女を残すだろうか?そんな事この世界ではありえない。
つまり、別の世界から召喚された人間という線が出てきた。召喚魔法は存在する、避難した魔法使いが別の世界から召喚、元の世界に戻る為、俺を殺すことを条件に出した…という事ならギリギリあり得るだろうか?
ならば、俺がとる行動は
「
「し…」
勇者を殺せばいい。わざわざ、人間の為に死ぬ理由が無い。俺は少女の頭を跳ね飛ばし剣を治める。
「わぁ、流石アシュ君」
サチがパチパチと手を叩いているが俺の心には虚しさのみが残っている。
俺が立てた計画もこんな結果に終わる。なら…
「サチ、レン。少しやり直そう」
最初からやり直すのがベストだ。
「…そうですか。なら、私たちとはお別れですね」
「あぁ」
サチは俺のやり直しについて知っている
「違う世界の私たちを大事にしてやってください。私たちは楽しかったですから」
「あぁ」
俺の
「では、始める」
俺は唱えた
「
全てを俺が望んだ場所に戻す魔法。三年という月日のおかげで完成させることが出来た。ただし俺の所持物も一緒に戻ってくるため俺がこっそり書いてた日記も戻ってしまう。これは予言の書に近いものになってしまうので倉庫に隠しておこう。
周りがグルグルと回る
「アシュ君?どうしたのボーっとしちゃって」
正常に戻った時、サチが俺の顔を覗いていた。俺は
「いや、何でもない。それより計画を発表する」
俺が戻ったのは人類壊滅計画を立てる少し前
「俺が行うのは…俺が勇者となり世界を1つにする」
こうすれば勇者という存在は生まれない。そして、世界を征服できる。
効率的かどうかは分からないが俺は何度でも改良してやるさ。
この先、魔王は何度も同じ世界を作り続ける。だが、中には魔王が世界征服に飽きた世界もあるのかもしれないですね。でも、それは別のお話。この物語はここで打ち止めです。では、さようなら。
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