16話 どうやら俺はこの世界のやばい奴らを知らなかったようだ
「アシュ君。早く‼早く
とエメルが言うのでレンとサチを置いて魔王城に行くことにした。最初は何を急いでいるのかと思っていたが
「魔王様‼」
と飛び出したエメルの後に俺も入る。そこには…
下半身が無くなり動かない
「魔王様‼魔王様‼」
とお腹に風穴を開けられ倒れている
「誰が…誰がこんな事を‼」
と獣人の村でも見せなかった怒りを露わにするエメル、その正体はすぐにわかる事になった。
「おいおい、まだ残党がいたのかよ」
大きな入口から宝を持ち現れたしっかりとした装備を着た四人…職業としてデカい盾を持った戦士(男)神聖な雰囲気を持っている僧侶(女)拳をガチガチと鳴らしている格闘家(女)そして…異様な雰囲気を出している剣を持つ戦士(男)の姿があった。
「…お前たちが、お前たちが魔王様をやったのか‼」
怒りに狂ったエメルはその四人組に突っ込む。すると、
「おい、来たぞエデン。動きを止めてくれ」
と剣を持った男が盾の男に指示を出す。
「おう」
と最前線に出て盾を構える。
「邪魔だー‼」
とエメルが盾を殴ろうとする。すると、
「
と僧侶の女が盾の男に魔法をかけ、盾の男はエメルの攻撃を軽々と止めた。驚いたエメルに間髪入れず左右から素手の女と剣を持った男が斬り殴りかかる。
その攻撃を止めるエメル…と思っていたが剣がエメルの体を切り裂いた。
「がふっ…‼」
急いで俺の元まで下がってくるエメル、俺も回復魔法をエメルにかけようとしたが、治らない。エメルの傷が塞がらないのだ。
「…大丈夫だよ、アシュ君…もう十分動ける」
と何かを察したエメルは俺に回復を止めるよう言い、俺は回復を止めた。
「…はぁ、はぁ。お前ら…勇者組だな」
エメルは息も絶え絶えにそう叫ぶ。
「おっ、よくわかったな。獣」
そう言うと剣を持った男は決め顔で名乗った。
「俺の名前は勇者ミリガン。お前ら魔族を殺しに来たものだ。この聖剣でお前らを殺す‼」
勇者…生前ゲームで見たことがあるな魔王を殺す旅に50円と木の棒を持って戦うやばい奴だったと記憶している。聖剣は…魔の者を祓う伝説の剣だったはず…
「さぁ、大人しく死ねよ。獣」
「ははっ、そんなこと言って負けたら恥ずかしいよ。君」
と余裕そうにエメルは振舞うが立っているのもやっとの状態だった。流石に4対1はまずいと思ったので参戦しようとすると
「アシュ君、手を出さないでね」
「だが…」
「勝てないのは分かってる。…でもね、腐っても獣人族に産まれちゃったからね。最期ぐらいカッコつけたまま死なせて」
主を失った獣人族は戦いにおいて最期まで主を殺した相手と1人で戦う、それが獣人が人に使えるという事であった。
「さぁ、やろうか」
ニヤリと無理に笑うエメルの戦いが始まった。
と思われたがここから30秒の間、あれは戦いと呼べるものではなかった。
動きの鈍くなったエメルを勇者が切り刻む、エメルは倒れず勇者に攻撃をしに行き見事に防がれるの繰り返しをし、足と腕が無くなったところで戦いが終わったのだった。
「ふぅ、しぶとかったな。さぁ、後はお前だけだ。抵抗せずして死ね」
と俺に剣を向けてきた。
「…確かにここはお前らに従うのが賢いやり方だろうな」
「おぉ、賢い魔族で…」
「だがな。俺はお前らみたいな弱い奴に命令されるのが一番むかつくんだよ」
エメルが戦っていたのを見て分かったこいつらはたいして強くない。やり方によってはレンでも勝てるぐらいだ。
「何を言って…」
だが、俺の仲間を殺した奴に
「お前らに圧倒的力の差と言うものを見せてやろう」
手加減をする必要なんてない。
俺は近くに立てかけてあった鉄の剣を持ち唱える。
「
「な、なんだそれは」
俺の手に握られているのは聖剣とは対照的に黒く禍々しい色をした剣
「名づけるなら
七つの大罪の『暴食』から貰った名前だ。
「さぁ、
俺は勇者に突っ込む。
「ふっ、あの獣と変わらないじゃないか、エデン」
エメルの時と同じように盾の男が前に出て
「
後ろの僧侶の女が盾の男に
「無駄だぞ」
「ぐぁ…‼」
全てを破壊し男の体を切り伏せた。出血も体の一部もない。生きているのか死んでいるのか分からない状態となり男は倒れた。
「な、何で…」
僧侶の女が驚いた顔をしている。
「神の祝福が消されるのは初めてだったか女」
「俺の
全てを喰らい尽くす防御不可の剣を俺は女に向け
「次はお前だ。抵抗せずして死ぬが良い」
これから始まるのは俺の全力の戦いだ。
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