15話 どうやら案外問題は簡単に解決出来…
ドゴッ‼バキッ‼ドスッ‼
打撃音が響き、俺は打ち負ける。
「やはり正面での打ち合いは勝てないか」
皮膚の硬さ的に一撃で殺す事は可能だ。だが、レンを手に入れる為、そうする事が出来ない…ならば。
「
そして、レンの四肢を斬り飛ばす。足だけ斬り飛ばしても腕だけで動いて来るかもだからな。あとは、
「
これで止血と拘束が完了した。唸って暴れているが、どうにも出来ない様だ。
「さて、次は…」
俺の次の相手は獣人族の長サレンミルだ。あいつと戦った事は…サチを通して戦った事はあるが、本来のスペックではない。
サレンミルは俺と目を合わせるなりニヤリと笑う。
「余裕なのは連れている有象無象が原因か?それとも俺に勝てると言う余裕の表れか?」
「そのどっちもですよ」
「本当に残念だ」
サレンミルを中心とした。10人の獣人の首が飛ぶ。
「まだまだ、予備はいるんだろう?」
「ふん、小童が。あやつの魔力を空にせよ」
そして、後ろからぞろぞろと獣人が現れる。
「数で潰す作戦か…甘い
俺の魔法の中で一番軽い魔法、最大1500発まで打つことが出来るが…もっと節約するか。
俺が放った魔法は獣人の頭を貫き。
「弾丸の液体を血液に変更。そして、各方向に放て血液の
一回一回水を作り出すよりも血液の方が魔力効率は良い。貧血になると言う欠点もあるが他人の血液なら問題は無し。
それにしても仲間を殺されて何も思わないのか…洗脳。いや、感覚共有で思考を共有してるのか
「おい、サレンミル。いつまでそこで達観してるつもりだ」
「お主もそんな余裕そうにしていいのか?」
「…お前、サチに何をしている」
先程から見えないサチの姿、サレンミルの言葉で確信に変わる。
「今頃、彼女は大人になるための試練を受けてますよ」
レンにも言っていた大人になる為の試練、肉体的な何かか?
「彼女が受けているのは「『狂化』の克服なんて。相変わらず古い考えだよね」
サレンミルの言葉を遮る1人の強者。
「来たんですね。エメル様」
「うん、来ちゃった。あとこの子助けといたよ」
と俺にサチを渡す。
先程エメルが言った『狂化』には心当たりがある。獣人族に流行った病、いつもの数倍の力が出せる代わりに理性が無くなる。それを克服…つまり、理性を持っていつもの数倍の力を出すのか。
「来たか、落ちこぼれ」
そう言いサレンミルはエメルを笑う。
「うるせえよ、ずっと怯えている子犬風情が」
とエメルも笑う。
「アシュ君、あの子犬貰うね」
「あぁ、どうぞ」
正直、嫌だ。と言いたいが殺意がビンビン過ぎて無理だな。まぁ、良い。俺は…
「おい。サチ起きろ」
とサチを起こしレンの治療に向かう。
「ウゥゥゥ…‼」
「うわ、これがお兄ちゃんですか」
とゴミを見るような目でサチはレンを見る。
「辞めてやれ、その目を。とりあえず、こちら側に理性を戻すぞ」
一般的に『狂化』の治療の仕方は薬治療があるが、今そんな贅沢は出来ない。昔見た本の中にあったもう一つの治療法。
「これより始めるのは契約の儀、我が力は彼らのを超え力を示した。彼らを我が眷属とし、力を明け渡せ」
契約の儀は獣人族の村に流れる特殊な魔力によって行える。父もかつてここでエメルと契約を交わしたそうな。
「あぁ、アシュ君が私たちの主様に…」
と喜ぶサチ。レンは唸りが無くなり俺にひれ伏した。
「さぁ、次フェーズだ。我が左腕を犠牲に彼の者の病を治療を行え」
すると、レンの体がみるみる縮んでいく。完全に元の形に戻った所で左腕に激走り左腕が一瞬にして無くなる。
「わ、アシュ君大丈夫?」
「あぁ、俺は…大丈夫だ。それより、レンを見てやっててくれ」
回復魔法は…左腕には使えないみたいだな。謎の力で抑えられている。仕方がないので
「さて、エメルはどうなってるかな」
先程エメルと別れた場所に向かう。そこには血塗れになっている獣人達、それと、満身創痍のサレンミルと無傷のエメルの姿があった。
「あっ、終わったみたいだね。アシュ君、お疲れ」
笑顔でこちらに手を振るエメル、俺はエメルの近くによる。
「わっ、凄い腕。男の勲章かな?」
「まぁ、そんなものです。少しサレンミルと話してよろしいですか?」
「うん、別にいいよ」
エメルに許可も貰ったのでサレンミルに近づく
「ふふ、レンを治し我が子供たちを手にしたか」
「あぁ、最初からそのつもりだったからな」
左腕を失うのは少し予想外だったが、最小限の被害で済ませた。
「…ふふ、娘たちを頼むぞ」
「いいのか?私はお前を殺してないぞ?」
「使えるものを使って私を瀕死に追い込んだんだ。構わないさ」
「そうか、ならありがたく2人を貰っていくさ」
そうしてサレンミルは息を引き取った。
滞在日数2日報酬レンとサチ
エメルと一緒に獣人の墓を作った後、エメルが何かを感じとる。
「…魔王様が危ない‼」
仕事が終わった後にどうやらまた面倒事があるようだ。
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