8話 どうやらこの2人は本当に凄いようだ
ゴンッ‼ドンッ‼ドスッ‼
「速度を上げる事でほぼ同時に3発撃ち込んでくるか。いいなその技」
そう言い、すべての拳を抑える。
「ッ‼なんで全部止めれるんだよ‼」「あっ、やっとお兄ちゃん見えた」
そう言いながらレンは俺から一気に距離を取る。
「スピードが落ちているから見て止められる。しかも、慌てて技を出しているから威力が下がってるぞ。3発目と1発目の威力を同じに出来るようスピードを上げる事を頑張るんだな」
と口では言ったが実際感心している。獣人族の特性である運動能力を生かす連撃、レンはきっといい戦士になれる。
「さて、次は…サチ。お前の能力を見る。レンは休んでろ」
「…」「何をするの?」
「そうだな、いくつか質問をしよう」
サチには昨晩の件で色々気になる事がある。
「…」「分かった」
「じゃあ、1つ目だが…サチは恐らく精霊が見えてるよな?」
「…」「うん、見えてるよ」
稀に感覚が覚醒し精霊などが見えている獣人族がいるという文献を昨日見つけたが、やはりサチはその部類だったか。
「操作することは出来るのか?」
「…」「うーん、操れるときは操れるかな?」
無理な時は無理らしい。つまり、その辺も練習する必要がありそうだ。さて…
「見てるんだろ
「…ッ‼」「えっ?何を…ほう、私の存在が分かるのですか」
レンが震えている。こいつの存在を聞くとしよう
「お前は恐らくこの双子の母親だろう?」
「…」「いかにも、私の名は…」
「現獣人族の長サレンミルだろ?」
「…」「ほぅ、そこまで推測していたか」
「正直簡単だったよ」
最初はサチに母親が悪霊として憑いているのかと思っていたが、それにしては生命力がはっきりしていた。そこから生霊という事にたどり着き、そんな芸当が出来るのは実力者しかない。そうして、候補に挙がるのは獣人族の長だった。
「…」「で、私から何を聞きたいんだ?」
「この双子を私に寄越せ」
そう言うとサチの姿が消える
「母様‼」「なら、私を殺して見せよ」
レン以上の身体能力を見せる。…直ぐに戦闘を終わらせた方がよさそうだ。
「おいおい、そんな速度で動くとサチの体がぶっ壊れるぞ」
「そうです母さん‼お辞めを」「構わん、獣人の体は簡単に壊れわせんよ」
正直、そうは思えないが。まぁ、良いか。
「しょうがない」
ボキッ‼
「えっ?」「なっ⁉」
俺はサチの足をへし折る。どうやら2人とも俺の姿が見えてないらしい。おっとそうだ。
「レン、きちんと見ておけよ。今から私が望んでいる地点を見せてやろう」
ボキッ‼
「はっ?」「ぐはっ」
5発同時の拳
「さぁ、もう動けないだろう?」
「母様‼」「ぐ、そう、だな。私の負けだ。子供たちをよろしく頼むぞ。あと、全てが終わった後、南西の谷に来い」
「あぁ、じゃあな。
そうして、母親は成仏、サチの体は完全回復したのだった。
30分程あと
「サチ‼サチ‼」「うーん、お兄ちゃん。うるさいよ」
サチの呼吸が安定化したことでレンはサチに詰め寄る。そして、それをサチはめんどくさがる。
「だから、言っただろ、大丈夫だと」
「お前は信用ならんのだ」「あ、アシュさんおはよう」
「おはようの時間ではないがまぁいい。おはよう、サチ。変わった事はあるか?」
「大丈夫なのか、サチ?」「うーん、大丈夫だよ」
体を軽く動かしながら言う。やはり半端な回復魔法を複数回かけるよりも完璧な回復魔法をかける方がいいな。
しかし、突然
「あー、そうなんだ」
とサチが話始める。
「どうしたんだ、サチ?」
とサチの独り言の内容が気になり聞く。すると彼女は言う。
「久しぶりに精霊さんたちが話かけてくれたの」
「もしかして…光の精霊か?」
数少ない精霊の文献の中で得た情報。人と好んで話かけてくる2種類の精霊 光の精霊と闇の精霊。だが、闇の精霊は暗い場所にしか現れないと言う。
「うーん、そうなの?…そうだって」
どうやら確認してくれたようだ。
「よし、なら契約してもらう事は出来るか?」
光の精霊は人との交流を好む性質上、力を貸してくれることがある。
「ちょっと待ってね。…出来るみたい」
光の精霊からの許可が出た。これでサチの戦力化が…
「そんなの駄目だ‼」「お兄ちゃん?」
とレンからの一喝が入る。
「そんな訳の分からないものにサチを任せられるか‼」
「おい、レン。そんなこと言うと…」
レンは知らない精霊の前で精霊を愚弄するとどうなるかを。
「あれ?精霊さんなんで赤く…」
レンの方へ走り飛びつく。
「ぐぇ、何を…」
バキッ‼と勢いよく俺の腕が折れる。
「魔力で強化しても無駄か」
まぁ、逆に考えれば魔力で強化しなければ体が吹き飛んでいたと考えると腕の骨ぐらいは安いか。
「おい、レン。急いで精霊に謝れ。今の私たちでは彼らに勝てない」
「辞めて精霊さん‼」
サチが叫ぶが無駄だ、まだ契約してない精霊は言う事を聞かない。
「恐らくこっちだ」
と俺は不可視の攻撃に対していくつか予測を立て動く。しかし、
バキッ‼と足の骨が砕ける。やはり、完全回避は無理だな。
「急げレン‼」
「…ごめんなさい」
駄目だ。次の攻撃は避けられない。俺はレンを包む。そして、攻撃が来ると覚悟した時
「あっ、妖精さんの姿が元の色になった」
とサチが言う。つまり、
「ふぅ、終わったか」
レンを離し大地に寝転ぶ。そして、
「お前ら…最高だ」
と笑いながら俺は言ったのだった
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