7話 どうやら俺の仕事は終盤を迎えるらしい

ハンバーグを食べ終わり俺たちは店を出た。

デミグラスハンバーグ3つで金貨2枚に銀貨5枚。まぁ、2500円と言ったところだ。

店を出て直ぐ俺は2人に言う

「さて、話をするにあたって。まず、宿屋に移動するぞ」

「ここじゃ駄目なのか?」「…宿屋」

さっさと逃げ出したい青髪の獣人と宿屋に少し興味ありげなピンク髪の獣人サチ

「あぁ、駄目だ。ここじゃ話せない事が多すぎる」

「…分かった」「やった」

恐らくハンバーグを食べさせた事やサチが目で訴えたことにより彼は俺の案を承諾した。

ハンバーグを食べた店から歩く事、約10分。赤い屋根で紅葉型の看板が吊るされている家。

「いらっしゃいませ」

中に入ると白髪の綺麗なおばあさんがいる。そして、この宿の凄みは部屋の大きさや人数関係なく一晩金貨1枚(1000円)で泊まれることだ。

さぁ、次に部屋の内装を見て行こう。

部屋の中はベットが2つに丸いテーブルに椅子が4つ。シンプルな内装だった。

「さて、話をしよう」「わー、ふかふかだ」

ふかふかベットに興奮しているサチを落ち着かせ、俺と双子の話し合いが始まる。

「そうだな。と行きたいところだがまずは音の遮断サイレント。これで外にお前らの声が漏れる事はない」

そして、話始める。

「まずは自己紹介と行こうか。私の名前はアシュ・ムエテル、魔王の息子だ」

俺は変身イリュージョンを解き、本当の姿魔族を見せる

「はっ?」「わぁ。立派な角」

驚く青髪、角に興味深々のサチ

「さて、次はお前らの自己紹介を…」

「ちょ、ちょっと待て」「どうしたのお兄ちゃん?」

落ち着いているサチとは対照的な兄の青髪。

「なんだ?」

正直、さっさと次の段階に進みたいのだが。

「なんだ?じゃない。いきなり、魔王の息子だと言われたら誰でも驚くだろ⁉」「えっ?」

いや、妹が驚いてないじゃないかと突っ込んでやりたい。しかし、まぁ、しょうがないから説明してやろう。

「私は話し合いにおいて隠し事はしない。相手の信用を得る為にな」

そして、情報を情報で返せと遠回しに言うために。

「だからって…」「私ね。獣人族のねサチって言うの」

既に知っている情報だが、早速情報が流れる。

更にこの交渉において、1人でも情報を這うとどうなるのか。そう、喋らなくてはいけない状況に陥るのだ。

「…くっ。レンだ」「私のお兄ちゃんだよ」

今回は幼いサチの口軽さもあったが、2人の名前を入手出来たから良しとしよう。

「さて、自己紹介も済んだことだし、レンお前がずっと聞きたがってた事はなんだ?」

そして、レンに会話の主導権を握らせることなく会話を進める。

「どうして俺たちを選んだんだ?」「…」

「他の奴らに比べお前たちが優秀だったからだ」

「俺たちが逃げる可能性があったのに何で首輪を外したんだ?」「…」

「あの状態で私から逃げられるとは思えなかったし、サチが逃げようと考えているように見えなかったからな」

何の面白みもない一問一答。ちなみにサチはウトウトと頭を揺らしている。

「俺たちをどうする気だ?」「…すぅ。すぅ」

「特に何もしない。お前らが私の元に付いてくるなら。それなりの教育を行うし、自由にしてくれと願うのならそうしよう」

レンは疑っているようだが俺の言葉に嘘はない

「では、私から質問しよう。お前たちはこの先どうしたい?その通りにしてやろう」

「そんなの自由になりたいに…」(グイ)

先程までスヤスヤと眠っていたサチがレンの服を掴む。

「サチ?」「恩を返さなくていいのですか?」

…サチの雰囲気が変わった。

「何を言って…」「この人に私たちは奴隷という立場から救われるだけでなくご飯も与えられたのですよ?これだけの恩を頂いているというのに、貴方は逃げるという選択肢を取ろうとしている。レンよ、もう一度問います。恩を返さなくていいのですか?」

そこまで言うとサチはベットに倒れ、またすぅすぅと寝始めたのであった。

サチが元に戻った。サチは多重人格なのか?と考えていると

「…お母様」「…すぅ。うーん」

ボソッとレンが言う。

「今のはなんだ?」

「それは…言えない。でも…お前を手伝ってやる」「すぅ…すぅ」

こうして俺の計画に双子の獣人が加わった。


2日目

今日、やることは買い物とサチとレンが何処まで動けるのかの調査である。

さて、まずは買い物から始めよう。

創造クリエイトで作った服だけでは正直、おしゃれ度に欠けるので双子用の非戦闘服(普段着)を購入

後は獣人族のスピードを生かせる軽い装備を購入

最後に裏ルートから城内部の地図や爆薬を購入した。

時刻として昼過ぎ

国の近くの草原で調査を始める事にした。

「じゃあ、まずはレンからだ。全力でこい」

「あぁ」「お兄ちゃん頑張って」

レンと向き合いスタートの合図を送る。するとレンは、勢いよく地面を蹴り俺に近づく。

「いいスピードだ」

と感心していると。レンの姿が消える。そして、レンの姿を見えた時、レンの周りに拳が複数見える。それが、ほぼ同時に飛んで来たため俺は防御を固める。

ゴンッ。という普通のパンチからは聞けない音。そして、威力はバズーカ並みときた。俺はニヤリと笑い。

「スピードを生かした良いパンチだ」

とレンを褒めつつ調査を続けたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る