5話 どうやら俺の最初の仕事は案外楽なものらしい楽なものらしい
滞在1日目
さて、紹介していこう。ロストレイン王国の美味しい食べ物を。
まず、初めに城から南方面に徒歩15分。赤い屋根が特徴のレストランだ。
「いらっしゃい」
店に入ると低い声の店主が迎え入れてくれた。店主の見た目は店の制服がパツパツになるほどの筋肉、前職は王国騎士団長だったらしい。
「ご注文は?」
お冷を持ちながら店主は聞く。騎士団長時代によく作り、部下から絶賛されていた料理。
「オムライスをお願いします」
オムライス、幼稚だと思われるかもしれないが美味しいところのオムライスは本当にやばい。だから、楽しみである。
「はいよ」
5分もしないうちに店主は美しいオムライスを持ってくる。高級店などで見る半熟ではなく、しっかりと焼いた卵にデミグラスソースである。
「冷めないうちにどうぞ」
早速、俺はスプーンを持ちオムライスを口に運ぶ。
「ふふ」
自然と笑みが零れた。ふんわりとした卵に濃すぎる事の無いケチャップライス、両方が足を引っ張りあうことなくちょうどいい塩梅となっている。
そして、更に評価したいのが具である。鶏肉、トウモロコシ、ニンジンと一般的なものだが、日本のものと比べると、とても大きい。それにより食べ応えがありとても満足度が高いものだった。
綺麗に食べ終わった後、店主が俺の元に近づき
「これ、オムライスに付いてくるプリンだ」
とサクランボの乗ったプリンを俺の前に置いた。
「ありがとうございます」
意外と見たことのない手作りプリン、簡単に作れると聞いたことがあるが…最低でも俺は作ったことは無い
まぁ、良いさっさと食べよう。小さなスプーンをプリンに…なんか市販のプリンより硬い気がする。カラメルもなんか少ない気がするし。まぁ、いいとりあえず一口…
「はぁ」
やばい…美味すぎる、美味すぎてため息が出てしまった。市販の物よりもしっかりとした濃い味、それに負けないカラメルの味、互いが味を高めあっている。最高だなこのプリン。
「ごちそうさまでした」
「銀貨6枚銅貨5枚ね」
この世界でのお金の単位としては銅貨が大体10円くらい銀貨が100円、最期に金貨が1000円くらいの価値だ。だから、この店のオムライス(プリン付き)は650円で食べられる。
「はい、ちょうど。ありがとうございました」
店を出た俺は店名の『ミライ』を頭に刻み込み、この店を教えてくれた果物屋のおばちゃんに感謝しつつ、俺はこの国の探索を始めた。
1時間後
さて、軽く買い物を済ませたので簡潔に国の全体説明をしよう。
まず真ん中に城と黄金の塔、そこを基準とし北側に衣類などの商業地区、東側西側に住宅街、南側に飲食店などがあった。そして、とても栄えていた。…と表面だけ見ればいい国だろう。しかし、裏面つまり路地の方は違う。薬や酒に溺れた者が大量にいた。総人口が80万人ほど、そのおよそ三分の一が裏面だった。
俺はある場所へ行きこの国の闇を調べた。それは、
「いらっしゃいませ。本日はどのような
裏面の住人、奴隷商人の元だ。普通なら酒場などで情報を集めるべきだろうが、誰が聞いてるか分からない。しかし、
「いや、情報が欲しい」
「ほう、どのような情報が欲しいのですか?」
俺が欲しい情報はただ一つ
「この国の王様についてだ」
「それなら金貨200枚で手を打ちましょう」
20万円くらいか、まぁ安いものだろう。俺は、袋に入った金貨200枚を奴隷商人に渡す。
「へへ、ありがとうございます」
ニヤニヤと笑いながら金貨をしまい商人は話始めた。
「今から20年前にこの国の王は変わりました。正確には王の側近をやっていた副大臣が新たな王になられたのです。そこで全てが変わってしまいました。今までの税収が一気に上がったのです。民は怒りました。しかし、その怒りも空しく、反逆した民は殺されました。そこで一気に国は崩壊しました。騎士団長も辞め、誰も王を支持する人間はいなくなりました」
そして、商人は問う。
「さて、質問です。王はどうやって民を支配したと思いますか?」
あぁ、そういう事か。
「薬か」
「ご名答、王は国から逃げ出そうとした人間を薬漬けにしました。女子供関係なくね」
逃げ出そうとしたら薬漬けにする。恐怖の元、成り立つ政治か。
「だから、皆無理やり笑い。楽しそうに過ごしています。これがこの国の王についての話です。満足していただけましたか?」
「あぁ、十分だ」
この国の状況なら、色々と準備を行う必要があるな。俺が考えているとニヤニヤと商人が笑いながら聞く
「こんな情報を手に入れて国家転覆でも行うつもりですか?」
「いや、ただの仕事さ」
間違った事は言ってないだろう。
「もう一つ。どんな奴隷がいるかだけ見て言いか?」
奴隷の確保(優秀な人材の発掘)だ。
「ええ、どうぞ。こちらです。」
俺は商人に付いて行き部屋の奥へと向かった。
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