STEP4 【賢く賦役を使うには・要点とまとめ】

①専門家の育成は怠ってはならない。

「兵役」については軍略の才能もそうですが、軍隊指揮や城攻め、架橋を行いながらの行軍などの技術は、その知識を意識的に継承しなければひと世代、実戦がなかっただけであっという間に忘れ去られます。(親族間以外の世代間でこれらが継承されてくるのは、参謀本部や軍学校などの軍事技術を蓄積する組織ができてから)

 陵墓、城、運河などの工事はその時代の建築土木工事技術の最先端が詰まっています。これらは民間に加えて為政者が積極的に技術者に投資して(修繕や新規建築を発注して)継承していかなければ、すぐに失われていく技術です。もちろん、技術革新も生まれません。


②実際に人を集めたらその瞬間から膨大な経費が発生する。

 人間は衣食住が必要です。集めれば、仕事がなくて遊ばせていても経費が発生しますから、資材の調達や訓練など、段取りよく行わねばなりません。

 そのためには、官僚制度の拡充が必ず必要になってきます。


③地租か、賦役か

 食料生産能力の関係から、人口は右肩上がりに増えていくわけではありません。

 そして石高は気候の影響・耕作地の総面積による天井もありますが、基本的にはマンパワーをどれだけ投入するかで変わってきます。

 賦役で一番労働力として有望な世代を引き抜けば、収穫量が落ちてくる可能性が高い。

 賦役は地租で取り込んだ農産物の一部でもって労働者を養いますから、なおさら地租の重要性は高まります。

 賦役と地租、両立するには、どうすれば良いのか。

 入念な制度設計が必要です。


④どうやって労働者との利害関係を一致させるか

 農園労働については、領主が農民に土地を貸し出し、その土地に定住させることで成り立ちます。(移動の自由を奪った場合も多い)疫病などで労働者の数が減って農民個々の地位が向上してきたりすると、自身の現状に不満が生まれる場合もあります。

 支配・被支配の関係は、互恵的というよりは搾取的ですが、あまりやりすぎると労働者は万難を排して逃げ出してしまうため、軍事力で盗賊などから守る、農村単位では購入しづらい高価で便利な道具を貸し出す、などの一定の配慮が必要になります。

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