クール系メイド型アンドロイドは今日も僕を溺愛してくる

まーる

第1話 プロローグ

西暦35XX年、人類はアンドロイドと暮らしていた。


詳しい歴史はこの際置いておこう。技術革新が何度も起きて、戦争や環境問題も相変わらずだけれど僕たち人類は人間と外見が殆ど違いが分からないアンドロイドと生活を共にしている。


彼らは自我を持ってはいるが人間を傷つけてはならないと言った基本原理を順守して生活している。


そんなアンドロイドと僕の日常の一コマをここに記していこうと思う。





「僕はまだ仕事中だよ。それとも何か用でもあるのかな?サエ」


「いえ、用事は特にございません。ですが先ほど情報サイトにハグをするとストレスが三割ほど軽減すると記されていたので、景昭(かげあき)様を癒して差し上げようかと」


「ありがとう、サエ。けど仕事中なんだ後でお願いしようかな」


座って仕事をしている僕を後ろから抱きしめて...いわゆる、あすなろ抱きをしているのは僕のアンドロイドで名前は「サエ」。


二十歳から働き始めた僕が七年程、一生懸命貯金して購入した家政婦型アンドロイドだ。


家政婦型と言っても手足がキャタピラと掃除機が合体したような見た目をしているわけではなく、身体能力の基礎スペックが家政婦をこなすのに十分という基準だ。


外見は...


「癒されませんでしょうか?サエは癒されています」


「ハグをしている方が癒されてるのは本末転倒かもね」


「んん~うぅ~...お仕事はお忙しいのですか?サエは景昭様のお体が心配でございます」


「くすぐったいよ。僕のバイタルチェックは毎朝してるじゃないか。今日はずっと仕事をしてるから寂しくなっちゃった?」


「.........いえ、その様なことはございません」


その様なことであるようだ。


SEとして在宅ワークが多い僕には寝食の世話をしてくれるサエの機嫌を損ねるのは自爆行為だ。


「少し休憩しようかな。リビングに行こうか」


「はい、了解しました。景昭様」


サエの外見は清楚な雰囲気と言えばいいのだろうか、あまり詳しく書くと特定が怖いから控えておくけれど、古き良き大和なでしこな美人さんである。


…注文するときに自分の好みの外見に設定するのは当たり前だろう?


アンドロイドである為、見目麗しいのは標準搭載だがそれでも余りある美しさだ。


身体パーツも発注時に設定可能で僕好みの体系にしている。


出るとこ出てて、きゅっとしてるところはきゅっとしているのだ。まあ、なんだ...ふかふかしているのだ。


ただ、一つ不思議なことがあって...。


性格を設定するときに余りいたずら等されたら仕事に差し支えるかも知れないと思い、性格を「クール」に設定したのだが...。


「今日のおやつはショートケーキでございます。どうぞ、あーん」


クールなんだよな?


「どうされましたか?あーん」


「あ、あーん...おいしいよ。けど僕の右手を絡ませる必要は」


「はい、あーん」


どうもスキンシップが多いのだ。


設定項目にスキンシップの多さなんて項目は無かったし、それは性格に比例しますって説明を受けていた。


一緒に買い物に出かけるときはもう少し落ち着いていて、まあ見ようによっては〝クール系大和なでしこメイド〟に見えなくもないはずなのだが...。


「朝から仕事だったから寂しかった?」


「.........いえ、その様なことはありません。では、これを」


サエは右手に持っていたフォークを僕に差し出す。


「あーん」


「これは僕が自分で食べてもいいてことかい?」


「...景昭様」


そんな器用に目だけで不満を伝えないで欲しい。


基本的にはクールである為か無表情なのだが、言動から甘えたがりな感じや寂しがりやな雰囲気が漏れ出てる。こんな説明は聞いてない...。


「はい、あーん」


「ふふ、あーん」


アンドロイドであっても有機物からエネルギーを取り出して人工筋肉やサエの自己を形成するCPUであるコアを動かしているため、同じように食事をするし好き嫌いもあったりする。


その昔、数百年前にサエのようなアンドロイドの祖先、自己を持ったAIが生まれたときに人権やら何やら大変だったらしいが、恐らくAI側が上手く人間に取り入ったに違いない。


今では人権こそないもののむやみに傷つければ罰せられるし、アンドロイド同士の情報網にて独自のネットワークを形成しているせいか人間より世界の世情に明るい。


真面目な話、人類はこのアンドロイド達に生活の主導権を乗っ取られていて、既に手遅れになっているのかもしれない。


「美味しいです.、景昭様。景昭様からもう一口頂ければ、サエのエネルギーは夕飯まで持つかもしれません」


満杯までエネルギーを貯めこむと一カ月動きっぱなしでも平気なアンドロイドが下手くそな催促を促してくる。


「サエに夕飯を作ってもらわないと僕はお腹が減って大変だから、仕方ない。はい、あーん」


この無表情で口をもぐもぐさせてるクール系大和なでしこメイドのような...アンドロイドによって人類は...生活の主導権を...乗っ取られて?


可愛いからもうそれでいいよ。僕はコミュ障のしがないSEだし...。


そんな僕、景昭とクール系大和なでしこメイド?の日常をここには記していこうと思う。


突然宇宙人が侵攻してきてそれを友情パワーで撃退したりもしないし、異世界転生もしないし、テロリストに自分の学校や職場が占拠されることもないけれど、ポンコツ気味なかわいいクールメイドとその主人ならここにはあるかもしれない。





-------------------------------------------あとがき-------------------------------------------


初めましての方は初めまして、別の作品から来たよって人はお久しぶりです。まーるです。


こちらはネタが浮かんだら更新していきます。


対戦よろしくお願いいたします。


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