第8話 ピンクの世界




 万能の神「アマテラスオオミカミ二号」に「お菓子の世界」から脱出させてもらい、二人は次の世界第三の世界に向かった。


 第一の世界が「ソープバブル世界」第二の世界が「お菓子の世界」そして…アンディ王子が誕生した第四世界が「クリスタル世界」そして…もう一つは一体どんな世界なのか?

  

 さあ一体第三の世界はどんな世界なのだろうか?


 早速澪は胸を躍らせ、おまじないを始めた。

「ええっと……ええっと……嗚呼……。そうそう……とほかみえみため……嗚呼……二十四時間前に言っていたあの言葉……と ほ か み」


「アッ!チョット待った!第三の世界に行く前に……澪に聞きたい事があるのだけれど……」


「何よ……アンディ……?」


「僕さ……あの~?僕さ……澪の事……あの~?」


「何よ!ハッキリいなさいよ!」


 お互いに惹かれ合っている二人なのだが、澪は完全に、この恋が叶う筈が無いと思っている。

(養護施設出身の私とアンディ王子では身分が違い過ぎる。釣り合うわけが無い)だから……完全に諦めて開き直っている。


 一方のアンディ王子は、何とか澪との恋の糸口が見つからないものかと、必死にアプローチを考えている。


「もうこの際だから聞くけど……澪はさ……えっへっへ……俺の事どう思っている?」


「嗚呼……そうねぇ……王子さまだから……チョットお高く留まって……いけ好かないかなぁ~?ウッフッフッフ!チョット言い過ぎたわね。ゴメン。ゴメン。違う違うイケメンで正義感あふれる人だと思ているわ」


「ゴッホン!チョット言い過ぎ!俺そうなんだよね。一見取っ付きにくいって言われるから……本当は全く平等に接しているつもりなんだけれど……」


「……ところで……話は何?」


「俺……俺……ず—っと言おうと思っていたのだけれど……澪の事……俺……澪の事スッス好きだよ……」


「……だけど……だけどね……私は親もいない養護施設で育った女の子なの。だからこんな私と王子様では身分が違い過ぎる。だから……」


「な~に言ってんだよ?俺澪が養護施設出身なんて関係ないし……第一養護施設って何さ?」


「だから……親がいなかったり、何らかの事情で親に捨てられた子供達ばかりがいる施設の事よ」


「嗚呼……そう……?可哀想にね。実は…「クリスタル世界」には、そういう養護施設はないんだ。だって水晶や宝石が豊富にある世界だから、クリスタル世界の住民は皆裕福だから子供を捨てるなんて有り得ないんだ」


「ありがとう。こんな私に心を開いてくれて。それでも……時間が迫ってきているのでゴメン!_まあその話はまた後にして、第三の世界に行かないとね。ええっと……ええっと……嗚呼……。そうそう……とほかみえみため……嗚呼……二十四時間前に言っていたあの言葉……と ほ か み え み た め」


 するとどういう事だ。何とも美しい世界が目の前に飛び込んで来た。


「ワァ~~~!なあにこの世界は……海と空しかない世界。一体どうなっているの?

そして…海は一面ピンク、そして…空もピンク一色の世界じゃないの?でも……とっても綺麗!」


「本当だなあ!どうなっているんだ?」


「でも……空と海の境界線が濃いピンクと紫でぼやけてハッキリ区別はつくわ。ワ――ッ!でも……何か不思議な……それこそ……幻想的で得も言われぬ美しさ!」


「本当だね!俺この世界の事は知らなかったんだ。何か……秘密主義な世界で……四つの世界の会議にも一度も出席した事が無い世界なんだよ」




 その時だ。海の底から、この世の者とは思えぬ美しい海の女神が現れた。


 全てがピンクずくしの世界に、その時白く泡立つ ピンクの波間に突然、美しい海の女神がまるで美しい花がひらいたように、キラキラと輝く海洋の白い泡から生まれ出た女神。


 淡い桃色の乙女色ドレスに真珠をあしらったレ-スのドレスを身にまとい、海の花の象徴ハマナスをかたどったルビーの髪飾り。それはまるで、どこか儚げな女神の末路を象徴するかのようなハマナスの花だった。ハマナスの花は短命な一日花である。そして… 花言葉は「悲しくそして美しい」


 何か……この怪しげな世界を象徴しているかのような、ハマナスの花をかたどったルビーの髪飾りの、それはそれは美しい海の女神が現れた。


 それこそ全宇宙の生物が心を奪われ恋に堕ちる。この世の者とは思えない妖艶で美しく、あまりのエロスに男達は皆胸の高鳴りを抑えることが出来ない。と、その時この全ピンクの世界に突如、美の象徴でしかない美しすぎるこの世界に、到底ふさわしくない巨大な影が海面に薄っすらと映った。だがその影は見る見る巨大な全海を支配するほどの大きさで迫ってきた。


 美しさと狂気をはらんだこの世界には、一体どんな秘密が隠されているのか?



 有難うございます!この度は本作を御目に留めて下さり嬉しい限りでございます。もし少しでも気に入って頂けたら作品♡★フォローをお願いします!

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