第3話 洞窟




 "フゥ―――――――ッ!“ ”フゥ―――――――ッ!“ ”フゥ――――――ッ!



 澪は早速、ふわふわ浮き上がり超高速で断崖絶壁から谷底に入っていった。


 その時だ。雲間から谷底に向かって、何とも恐ろしい稲光が無数に峡谷落ちて行く。


”ピカピカ”ゴロゴロ” ”ピカピカ”ゴロゴロ” ”ピカピカ”ゴロゴロ”

”ピカッ……、ゴロゴロ”


 閃光と雷鳴音を繰り返す雷。すさまじいエネルギーを放ちながらも時折、青白くひらめく稲妻が、フラッシュを焚いたかのように目もくらむ勢いで、眩い限りの稲妻光線を放ちながら、黒い空をヤリのごとく切り裂いて、凄まじい雷を無数に落としていく。


 その凄まじいまでの落雷とは裏腹に、神秘のチョックストーン(岩壁に挟まった石)が濡れて光る岩肌と、かかる水しぶきが一瞬霧のように、かすみのように映るが、微細な気泡が飛び散り、渓谷には神秘の深淵(川などの深い所)が延々と緑の水をたたえ、何とも幻想的で神秘の峡谷景観が広がっていた。


 するとその時、一瞬だが、この世の者とは思えない美しい男がス―――ッ!と切り立った断崖に現れた。


 だが、どういうことだ?一瞬で消えてしまった。


 澪は余りの美しい男にすっかり魅了されて、その男を知らず知らずに追って行ったが、見失ってしまった。だが、その時目の前に不思議な洞窟が見えて来た。


 その洞窟は近づいて見ると思った以上に巨大だった。

「ひょっとしたらこの中が魔女の棲み処かも知れない?」


 そして…シャボン玉に乗ったままス―――ッと洞窟の中に入っていった。


 するとそこには真っ青な美しいブル―の世界が広がっていた。この洞窟は海と繋がっているようだ。太陽光が洞窟に入り、石灰岩でできた海底に反射することにより神秘的な環境を生み出している。そのため太陽光の入り方によって洞窟の様子が大幅に変わる。


 一体どういう事だ。あれだけ青の世界がどこまでも広がっていたのに、ここはまた少し異なる世界が広がっている。淡い紫が桃色に近いあやめ色になり、中心部はオレンジ色となり、それが雲のようにゆらゆらうねりながら、やがてはまた中心部に太陽光が当たると、その部分だけがスカイブルーの霧が立ち込めたように、それはそれは神秘の世界が広がっていた。


 また、もっと奥底に進むと薄暗さで氷点下の洞窟内に水がしみ込み、天井からバイオレット色のつららが伸び、一段と幻想的な造形が生まれている。


 その時だ。そのつららの雫が氷の湖に無数に落ちた。


 するとバイオレット色の霧のようなものが辺り一帯に立ち込め、周りが見えなくなってしまった。とその時 中国明王朝時代の古代衣装に身を包んだ、この世の者とは思えない美しい男が、バイオレットの霧で覆われた中から姿を現した。


 その衣装は 明王朝 時代の煌びやかな、紺色の漢服に似た龍の刺しゅうが肩に大きくあしらわれた、それはそれは凛々しく豪華な衣装に身を纏った若者だった。


 その若者はバイオレットの雲のようなものの上に乗り、自由自在にこの洞窟空間を移動していた。


 その時その若者が澪を見るなり言い放った。

「キサマは何者だ!勝手にこんな所に来るとは不届き千万!」


「嗚呼……お許し下さい私は二十四時間以内に『『ソープ バブル世界』を経って第二の世界に渡らないと泡の如く弾けてしまうと聞いて、急きょこちらに来てどうしたらこの世界にとどまる事が出来るのか?それとも……どうしたら第二の世界に行けるのか、魔女様に聞こうと思って参ったのでございます」


「お前はバカだなぁ。何で……そんな坊やの言う事信じたのさ。実は…俺もひょんなことからこの『ソープ バブル世界』に辿り着いたのだが、君と同じでトムと言う坊やに『二十四時間以内にこの世界を経ちなさい。ここの魔女に会って今後の事を相談してみたら?』と言われてこの洞窟にやって来たのさ。その時は俺も時間が無くなると思ってあせって、何も考えずに来てしまった。そして……自分の意に反してここで延々と生活してるって訳さ」


「あなたは……『ソープ バブル世界』に行ったり出来るの?」


「それが……それが……俺は……この雲の上が歩く手段なんだ。普通だったらこの世界は『ソープ バブル』といってシャボン玉世界だからシャボン玉が交通手段になるのだけれど……俺はこのバイオレットの雲のようなものの上に乗り、この洞窟と渓谷だけしか行くことが出来ないんだ。だが、海に繋がっているので海の中も自由自在さ」


「ねえ?一度魔女さんに会わせて欲しいのだけれど……」


「バカだね。君は!そんなことしたら……」


 ”ギ―――ッ”『バタン』


 その時だ。魔女なのだろうか?

 誰かの影がチラッと見えたが……。


「君俺に任せときなさい。何も話したらダメ!絶対ダメだから……シ――ッ!」


 霧らしきものが立ち込める中を、誰かがス――ッと現れた。


「エエエエ————————ッ!ついさっきの『ソープ バブル世界』にいたトム君  の後ろにズ—ッと付かず離れずにいた女の子じゃないの?」


「バカ!シッシ―――ッ!」


(エエ————————ッ!ひょっとして……この子が魔女と関係があるの?それとも……この女の子が魔女なのだろうか?私が一瞬見た時は恐ろしいギラリと鋭い目付きの、恐ろしい魔界の魔女に見えたのだが?そして…確か…杖を付いた恐ろしい姿の魔女がとらえられていたが、あれは何かの……見間違えだったって事?)



有難うございます!この度は本作を御目に留めて下さり嬉しい限りでございます。も し少しでも気に入って頂けたら作品♡★フォローをお願いします!

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