第7話 自称エリートサラリーマンA氏⑥
俺の話が長いせいか、気が付いたら1時間経っていた。人数は十二人だ。減っては増えてを繰り返していた。
Xさん:『初体験はいつですか?』
俺:『俺の初体験、知りたい人いるんかなぁ…。まあ、Xさんはいくつなんですか?』
Xさん:『16歳』
俺:『いいですね!理想的じゃないですか。俺はぎりぎり十代終わりでしたね。相手どんな方ですか?』
Xさん:『テレクラで会ったOLさん』
俺:『夢のような展開じゃないですか!』
Xさん:『嘘です』
俺:『なんだ、羨ましがって損した。16歳ってのは嘘ですか?』
Xさん:『それは本当です。友達の元彼です』
俺:『男だと思ったら、女性の方ですか?えぇ!』
ネットは変な人が集まっていると改めて思った。
俺:『もっと普通の質問ありませんか?』
それからちょっと風向きが変わって、山羊の獣医さんはいるかという話になった。
俺:『予防接種して、健康診断をしてもらってるくらいですね。今んとこ元気なんで。若いってものありますけど。もともと知り合いはいないんで、そういうのを見れる人をネットで探しました』
Oさん:『山羊さんはどこで買ったんですか』
俺:『山羊は牧場に行って買いました。ジモティーとか見ると、地方ならただでくれるところもあるみたいですよ』
Oさん:『山羊はなんていう種類ですか?』
俺:『種類はわからないんですよ。すごいちっちゃい山羊がいるって最近知って、そっちにすればよかったかなと思ってます。大人でもひざ下くらいまでしか大きくならないのに、乳は一日1.5リットルも出すっていうのがいるんですよ。ナイジェリアなんとかっていう山羊。うちの山羊と一緒に飼って混血になったら困るんで、今からは飼えないですけど…ペットとして飼いたい人にはそういうのいいんじゃないかと思います』
Sさん:『土地を買ったきっかけは何でしたか?』
俺:『実はぶっちゃけると奥さんにプレゼントするために買ったんです。大学の時から付き合って、20周年だったんで誕生日にサプライズで…原野だったんで山羊付きで』
パラパラと書き込みが増えた。
『すごい!』
『さすが、金持ちは違うな』
『社長!』
『誕生日に千坪の土地かよ!』
『あんたの奥さん、叶姉妹か』
俺はちょっと調子に乗ってしまった。
俺:『指輪とかアクセサリーはいつも上げてるし、そろそろネタがなくなったかなと思って…一発びっくりさせようかなって』
Sさん:『奥さんなんて言ってました?』
俺:『笑ってました。あと、動物が好きなんで、家で犬飼ってて。犬を自由に走り回らせられるし…子どもたちにもいいかなって。こういうとこなら危ない物もないし、騒いでも迷惑とかないじゃないですか。都会に住んでると人目も気になるし、騒げないっていうのがあるから。都内だと花火する場所もないし、公園もボールがダメだし、ほんとできることって何もないんすよね』
Sさん:『子ども何人ですか?』
俺:『2人。上が女の子で5歳。下が男で3歳です』
Oさん:『自慢かよ』
Sさん:『今日も奥さんいるんですか?』
俺:『はい。車にいます。みんな疲れて寝てるんで、今一人です』
Mさん:『独身で友だちいない人だと思ってたのに騙された』
俺:『だましてないですよ。言ってなかっただけで。俺が独身である必要ないじゃないですか。アイドルとかじゃないし』
Kさん:『奥さん、どんな方ですか』
俺:『一般の方です。当たり前やっちゅうの!YouTubeはやってないです』
Kさん:『奥さん、美人ですか?』
俺:『まあ、ひいき目に言って、普通ですね』
Kさん:『年いくつですか?』
俺:『俺と同い年です。大学で知り合ったんで』
Kさん:『リア充自慢すんな!』
俺:『すいません。気分悪くするようなこと言って』
はっきり言って普通だろと思うが、低姿勢で謝っておいた。
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