6-5 アイツと僕
ミハナ
6-5 アイツと僕
ちゅっとリップ音をさせて離すと二人して額を擦り合わせた。公表するか、アイツが言う、僕はまた泣きそうになりながらも頷いて自分からもキスをして指を絡め合わせた。
公表、怖くないの?僕が問いかけると、ちょっとは怖いさとアイツが言う。
お前が取られるかとヒヤヒヤしてたのもあるけど、公表してお前の良さに気づくやつが出てくるのが嫌だ、と抱きしめられながら囁かれては僕は背中を撫でる。
それでも僕は公表したいよ、取られないかと危惧したのは僕だってそうだ。
そう伝えたらアイツはくしゃりと顔を破顔させて、もう一度キスを繰り返す。
気持ちは固まった。
二人してもう一度頷く。
明日言おう、とどちらからともなく囁いて二人は帰ることにしたのだった。
言葉少なに、二人して手を握りあう。
夕暮れの帰り道はいつもの道をまるで違ったもののように見せる。
帰りがたくなった二人は近くの公園に寄ることにした。
小さな公園は、昔彼らが遊んだ公園だ。
その公園で、二人でブランコを漕ぐ。
一人乗りブランコを昔のように僕が座ってアイツが漕ぐ。
見ろよ、空が綺麗だぞ。
ああ、そうだね、綺麗だね、まるで世界で二人みたいだねと呟けば、本当にそうなったらいいのにと僕は思った。
6-5 アイツと僕 ミハナ @mizuhana4270
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