第34話 vs アダマンタイマイ ○

雷神の裁きインドラ・ジャッジメント!」


 アスカのLv5魔法の不意打ちで、戦闘が始まった。

 強大な雷がアダマンタイマイに命中する。湖の水で分散され、威力が弱まっているが、直撃した甲羅の部分は一部が焦げて溶けているようだ。


「ブオォォォ!」


 アダマンタイマイの叫び声とともに発動した、水球牢ウォータープリズンがアスカに迫る。しかし、終わりの剣ジ・エンドの一振りで、水の塊が弾け飛んだ。


氷の世界フロスト・ワールド!」


 陸地に上がろうとしたタイミングで、アスカがさらにLv5の魔法を放つ。一瞬にして地底湖が凍り付き、アダマンタイマイは身動きがとれなくなったようだ。

 その隙を逃さず、アスカは重力操作で空を飛び、一気にアダマンタイマイとの距離を詰める。


「断鉄斬!」


 スキルの効果で攻撃力が増したアスカの剣が、アダマンタイマイの硬い皮膚を切り裂いた。


「ガァァァァ!」


 アダマンタイマイが苦痛の叫び声を上げた。そして、呪いの効果が発動しステータスが半減する。

 しかしさすがはS級、力任せに氷を破りながら陸地へと上がり、そしてまた一声叫ぶと、大渦潮メイルシュトロームが、アスカの足下に現れた。間一髪、飛び上がって躱したアスカは距離を取りながら剣を振る。


「飛刃斬!」


 剣術Lv4の飛刃斬の効果で、無数の斬撃がアダマンタイマイを襲う。しかし、巨大亀は体中に傷を付けながらも、ひるまずにアスカに向かって突進してきた。


 「太陽爆発オーバーフレア×4!」


 4本の足が大爆発を起こし、アダマンタイマイが崩れ落ちた。その隙に、アスカは額に終わりの剣ジ・エンドを刺し、飛び退すさる。


「とどめ!雷神の裁きインドラ・ジャッジメント!」


 額の剣を通して入り込んだ巨大な雷が頭の内部を破壊すると、大きな地響きを立てて巨体が沈んだ。


(ふう、やっぱり今までのように簡単にはいかなかったね)


(それでもS級を単独で倒せたんだ。強くなったなアスカは)


(ここまで強くなれたのは、お兄ちゃんのおかげだよ。お兄ちゃんがいなければ、最初のオオカミに殺されていたと思う)


 最近ちょっと冷たい感じがしてたので、正直、嬉しくて泣きそうだった。

 アダマンタイマイの甲羅は全て、アダマンタイトでできている。他の部位も、貴重な薬や魔法道具マジックアイテムの材料になるので、余さずに持って帰ることにした。


「うわ! レベルが一気に上がった!」


 S級を倒した上に経験値倍化で取得経験値が5倍になっているから、とんでもない量の経験値が手に入ったようだ。

 この戦闘で一気に10もレベルが上がった。10も上がるとステータスを見るのが怖くなるが……


名前(ヒイラギ)アスカ 人族 女

 レベル 15(43) 

 職業 賢者(勇者)

 ステータス

 HP  94(790)

 MP  104(800)

 攻撃力 94(790)

 魔力 114(810)

 耐久力 94(790)

 敏捷 104(800)

 運 104(800)   

 スキルポイント 49(1925)

スキル

 (剣術 Lv4)

 (炎操作 Lv4)

 (風操作 Lv4)

 (水操作 Lv4)

 土操作 Lv2(土操作 Lv4)

 (氷操作 Lv4)

 (雷操作 Lv4)

 (光操作 Lv4)

 (闇操作 Lv4)

 (重力操作 Lv4)

 (時空操作 Lv4)

 治癒 Lv1(治癒 Lv4)

 (結界 Lv4)

 (全属性耐性 Lv4)

 (全状態異常耐性 Lv4)

 (思考加速 Lv4)

 (身体強化 Lv4)

 (無詠唱)

 (魔力増大)

 (消費魔力半減)

 (魔力回復倍化 Lv4)

 (経験値倍化 Lv4)

 (経験値共有 Lv4)

 (スキルポイント倍化 Lv4)

 (ステータス補正 Lv4)

 (自動地図作成)

 (鑑定 Lv4)

 (隠蔽 Lv4)

 (探知 Lv4)

 (危機察知 Lv4)

 (鍛冶 Lv4)

 (錬金 Lv4)

 (付与 Lv4)


 これはやばい。一気に10も上がったから、ステータスも大変なことになってる。最早、S級の魔物と比べても遜色がないくらいだ。とりあえず、学院に入った時に怪しまれないように、レベルとスキルポイントを調整しておく。

 土操作の表示をLv2にして、結界も忘れずに付けておいた。結界は確か、Lv1が物理防御フィジカルディフェンス、Lv2が魔法防御マナディフェンス、Lv3が状態異常防御セーブコンディション、Lv4が絶対防御アブソリュートディフェンスだったな。

 それから、このステータスなら軽く動いただけでも目立ってしまう。特に咄嗟とっさの動きに気をつけるように言っておいた。


(そういえばアスカ。時空操作のLv4は空間転移テレポーテーションだったよな。ここから一発で王都に帰れるんじゃないか?)


(確かにそうだけど……誰かに見られるのは困るなー。)


(んじゃ、王都の近くに転移するか、いっそ宿の部屋の中に転移したらどうだ?)


(宿はさすがにおっかないから、王都近くにするね。確か大きな木が生えてるところがあったから、その木の陰に転移してみる)


空間転移テレポーテーション!」





 無事に誰にも見られることなく転移したアスカは、そのまま宿に帰った。


(明日はいよいよSランクに挑戦だ。今日は早めに休んでおこう)


(うん、食事してシャワーを浴びて、装備のお手入れして寝るね)


『食事をしてシャワーを浴びて』までは、13歳の女の子には当たり前のことだけど、その後の、装備の手入れはな……。アスカもこの世界で生きていくのに必死なんだな。俺がもっとしっかりして、アスカの心の支えになってやらねば。

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