第33話 Sランク昇格試験前3日間

 この3日間は、レベル上げに費やすつもりだ。タッカート山脈を中心に北に広がるチックの森や、東にあるツインヒル平原でドラゴンを中心に、他にも3mもの巨体を光操作で透明に見せるインビジブルタイガーや、周囲に呪いを撒き散らすカースバジリスクといった、A級の魔物を狩っていく。おかげで、最初の2日間でアスカのレベルは33に上がった。


名前(ヒイラギ)アスカ 人族 女

 レベル 33 

 職業 賢者(勇者)

 ステータス

 HP    74(540)

 MP   84(550)

 攻撃力 74(540)

 魔力  94(560)

 耐久力 74(540)

 敏捷  84(550)

 運   84(550)   

 スキルポイント 0

スキル

 (剣術 Lv4)

 (炎操作 Lv4)

 (風操作 Lv4)

 (水操作 Lv4)

 土操作 Lv1(土操作 Lv4)

 (氷操作 Lv4)

 (雷操作 Lv4)

 (光操作 Lv4)

 (闇操作 Lv4)

 (重力操作 Lv4)

 (時空操作 Lv4)

 治癒 Lv1(治癒 Lv4)

 (全属性耐性 Lv4)

 (全状態異常耐性 Lv4)

 (思考加速 Lv4)

 (身体強化 Lv4)

 (無詠唱)

 (魔力増大)

 (消費魔力半減)

 (魔力回復倍化 Lv4)

 (経験値倍化 Lv4)

 (経験値共有 Lv4)

 (スキルポイント倍化 Lv4)

 (ステータス補正 Lv4)

 (自動地図作成)

 (鑑定 Lv4)

 (隠蔽 Lv4)

 (探知 Lv4)

 (危機察知 Lv4)

 (鍛冶 Lv4)

 (錬金 Lv4)

 (付与 Lv4)


 剣を使えて、魔法も回復もできるからだろうか、職業がいつの間にか【大賢者】から【勇者】になっていた。魔王でも倒させるつもりなのかな?





 Sランク昇格試験前の最後の1日は、スキルの実験に費やことにした。場所はタッカート山脈の麓にある洞窟の中で、一番深かったところだ。その洞窟の中ほどにある、大きく開けた空間に爆音が響き渡る。


地獄の溶岩ボルカニック・インフェルノ!」


 全てのスキルがLv4になったので操作系は魔力増大の効果で、最高位のLv5まで使うことができるようになった。

 今、放ったのは炎操作のLv5魔法で、超高温の溶岩が辺り一面を溶かし尽くす。


大津波タイダル・ウェーブ!」


 次に水操作のLv5魔法で発生した大津波が、一面に広がる溶岩にぶつかった。急激な温度変化に、水蒸気爆発が起こる。


氷の世界フロスト・ワールド!」


 今度は、爆発した水蒸気が一緒に爆発した岩ごと全て一瞬で凍りつく。氷操作Lv5魔法の効果は凄まじい。


切断する嵐アンプテイション・ストーム!」


 風操作Lv5魔法の全てを切り裂く嵐が、氷の世界をズタズタに切り裂く。


土戦士創作ゴーレム・アート!」


 突如現れた、高さ3mの土でできた戦士。土操作Lv5魔法で創られたこの戦士は、ドラゴンすら倒してしまう。込める魔力次第で、複数体創り出したり、大きさを変えたりも出来るようだ。


雷神の裁きインドラ・ジャッジメント!」


 そのゴーレムに何本もの巨大な雷が落ち、ゴーレムが片膝をついた。苦手属性にも相当なダメージを与えたところを見ると、雷操作Lv5魔法は単体にも効果が高いようだ。


 そして最後に……


時を戻すリ・ワインド!」


 時空操作Lv5の魔法効果は、短時間ながら時間を巻き戻すことができる。Lv5魔法で破壊し尽くされた洞窟が、何事もなかったかのように元に戻った。


(これ、やばいな……。Lv5魔法半端ないって……)


(お兄ちゃん、これ使う機会あるのかな? こんなの連発したら地形変わっちゃうよ)


(周りへの影響も半端ないから、スキルの結界を付けておくわ。結界も魔法扱いだから、Lv5まで使えるはず。味方がいるときは結界で守らないと、熱や低温で死んでしまうからな……)


 その後、複合魔法について色々実験した結果、10個ほど見つかった。中にはLv5同士の複合魔法もあり、その威力は半端ないLv5魔法のさらに上をいくものだった。


(あれ? 俺ってアスカのレベルが56になったらLv5になるんだけど、そしたら操作系の魔法もLv5になるんだが、魔力増大の効果はどうなるんだろう? 一段階あがるなら、操作系のLv6とかあるのかな? "スキルナビゲーター"でも確認できないな)


(その時になったらわかるんじゃない?)


(そうだね。ちょっと恐ろしい気もするけど、楽しみにしておこう)


「……ブオォォン!」


 その時、洞窟のさらに奥深くから、何かの鳴き声のようなものが聞こえた。Lv4になって半径10kmまで範囲が広がった探知で確認してみると、広場からさらに5kmほど奥に行ったところに、A級以上の魔物の反応があった。


(これはS級の魔物だな)


(どうする、お兄ちゃん?)


 ふむ、今のアスカならS級相手でも問題なく戦えるはずだ。それに、明日S級の魔物と戦う予定だから、ここで練習しておくのもいいんじゃないかな?


(どうせ、明日、S級と戦うなら、いっちょどんなものかここで試してみるか)


(うーん、まず近くまで行って鑑定してみようよ)


 意外とアスカは慎重だった。と言うか、俺はアスカの成長にちょっと酔っていたようだ。大切な妹の命をもっと大切にしなければ……


(そうだな。気づかれないように静かに行ってみよう)


 アスカは洞窟の中を慎重に歩いて行く。途中の魔物を出てきた瞬間、音も立てずに瞬殺する姿はまるで暗殺者だな。鳴き声がした方に近づくにつれ、魔物の数が減っていく。それに合わせてS級の魔物の気配は強くなっていく。


(この先だな)


(うん)


 そこは先ほどの広場より、さらに広い空間が広がっていた。半分より向こうは地底湖になっているようで、水がたまっている。その地底湖の真ん中辺りに小さな島があった。


(あれ? お兄ちゃん、魔物がいないよ?)


(いや、あの島が魔物のようだ)


(えぇー! あのおっきいのが?)


(鑑定!)


名前 アダマンタイマイ 古代タートル族 水属性

 レベル100

 ステータス

 HP  2200

 MP  615

 攻撃力 780

 魔力  650

 耐久力 1200

 敏捷  460

 運  480

スキル

 水操作 Lv4

 水耐性 Lv4

 炎耐性 Lv4

 物理耐性 Lv4

 毒耐性 Lv3


 さすがはS級。今までのA級とは桁が違う。素のステータスはまだ敵わないが、身体強化Lv4でアスカのステータスは2倍になる。さらに剣術Lv4の補正効果で、剣による攻撃力が+70%になるので、攻撃力は実質1300を超える。計算上は剣で傷つけることが可能だ。そうすれば終わりの剣ジ・エンドの能力で呪いが発動し、アダマンタイマイのステータスが下がる。そこまでいけば、比較的楽に倒せるだろう。


(アスカ、計算上では十分に勝てる。相手はちょっと硬いが終わりの剣ジ・エンドなら切れるはずだ。呪いが効けばステータスが下がるから、そこで一気に倒しちゃおう)


(わかった。新しく覚えた魔法も使って、やってみるね)

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