0-3共にいたくても
1 成果無し
マフィアグループであった、ヒッポとハイエは抗争の末に消滅してから3ヶ月が経った。ヒッポで秘密裏に行われていた、人攫いを指示していたグレイブという組織の全貌は未だに掴めていない。あの夜に見た、化物を人から生み出したということだけ。
要は化学の発展がアレをもたらした。
この首都オアシスは世界の中でも、有数の化学発展国だ。
そこにグレイブ達の情報はある、と思ったんだが・・・、未だにしっぽは掴めない。
もう暫くは荷物番をしながら探っていくしかないようだが、何故だか今日は歳上の同僚達との飲みで惚気と愚痴にひたすら付き合わされていた。
帰り道に一息つきたくて、路地裏に入る。煙草に火をつけて大きく息を吐く。
正直、情報のアテは無い。ただこのまま生きていくのも悪くはない。汚れきったこの手で、誰かと添い遂げることも出来るばすがない。
失う物なんてない。
得るものなんてない。
ただ、業を背負って生き抜くだけなはずだ。
それでも諦めてしまったら、きっとここで何もかも終わってしまう気がする予感がある。
吸いきった煙草を道端に捨てて、路地を抜けようとしたが、何か声が聞こえた。
「ヒィッ!ごめんなさい!やめてください!!」
助けてやる義理はないが、走り出した。
「おい、何してるんだ。そんなやつ殴ったって何にもならねぇぞ。」
暗がりでよく分からないが、3人組の男達は走り去って行った。
「まったく、こんな夜道を歩き回るなよ。ひょろい体に薄汚れた白衣で歩いたら、そりゃ狙われるだろ。近づくんじゃねぇぞ。」
「あはは、どうしても研究の材料を集めなきゃ行けなくて・・・。あ、助けてくれてありがとうございます!気をつけます!では、また!!!」
弱々しそうな男はそのまま走り去って行った。
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