5 守るとは
ヒッポのボス、テイラーの掲げた思想は、過去に自分の友人が連れ去られた事から来る、フォータウンの子供を守ることだ。
守れればそれでいい、はずだった。
だが目の前にあるこれは、違う。これは守るではない。
奪われたのなら奪われた分だけ関係なく奪い返す。相手と同じ事をし続けてるだけだった。
このトラックの荷台には、オアシス、ファータウン、ツータウン、サータウンから奪ってきた少年少女達が暴れられず声も出せないくらいに収容されている。
俺は何も気づかずに荷物番とは程遠い、彼らにとっての地獄の護衛者になってたんだ。
「すまない・・・!」
俺はすぐさまトラックに乗り込み、彼らを南側の小さな都市サースティに走り出す。
今まで通りの流れだと少年少女達がどうなるのかは知らないが、サースティには頼れる友人がいる。
何度か訪れたバー、ピーコック・リキュールのマスターであるピーコック・アレクサンダーに彼らを一旦預けよう。
フォータウンに戻ったら、必ず決着は付ける。
俺が導火線に火をつけたのだから、火を消すまでが俺の役目だ。
アクセルを加速させた。
──2時間後
サースティに着き、少年少女達を連れて、ピーコック・リキュールの裏口へ辿り着いた。
カウンターにいるマスターを呼び出し、
「マスター!突然すまない、彼らの面倒を頼みたい!必ず戻る、今はあまり時間が無いんだ!」
「久しぶりだな。やっと目的のある良い目になりやがって。任せろ、早く行け。今日は店仕舞いだ。」
「ありがとう、よろしく頼む。」
少年少女達を見て、俺はやっと見つけた。
荷物番とは、俺にとっての守るとは
──自分の関わったモノの行く末も案じて送り届ける事だったんだ。
だから、俺は命に替えても彼らの為にヒッポを壊す。
フォータウンへ向けて、アクセルを踏み込んだ。
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