1-3 ピーコック・リキュール

少女を担いで、サースティへ向かう。

トレーラーの荷台に少女の他に積まれている物はなかったが、少女を運ぶ為だけに手配されていたのか?

オアシスでは今、何が起こっているんだ。

いつか話したセカンドダイブをまだあいつは、諦めていないのか。

顔の傷が強く痛み始める。

あの日からずっと俺は間違えてしまった。

俺はまた、他人を巻き込んでしまった。


───エジー、俺がお前を殺してやらなかったから。


ただひたすら荒野を歩き、一本道の先にある街の外壁が見えてきた。

サースティという街は外堀を埋め、一本道から街へ入るための橋は必要な時以外は下がってこないようにしてある。

無事にトレーラーがここまで走っていれば容易に街へ入れたが、遠回りな裏口から街へ戻ってサースティでの居場所としている酒場、ピーコック・リキュールに入った。

バーのマスター、ピーコック・アレクサンダーとは俺がサースティに来た15年前からの仲で、今の荷物番の仕事や、アレクサンダーの勧めでキッシュとも知り合った。


「おう、戻ったか。キッシュはどうした?」

「すまない、キッシュは死なせてしまった。トレーラーも使い物にならなくなった。

ただ、荷物だけは回収してきた。あとは頼む。」

「そうか・・・。あいつは良い奴だったな。これ持って行ってやれ。」

「ああ。」


アレクサンダーは、商品棚からキッシュの好きだったバーボンを取り出して机に置いた。


「荷物はそのガキだけか?」

「そうだ。この子供を送るためだけにトレーラーは流石に大掛かりすぎないか。

いつもの荷物はもっと違うものが入っているはずだろう?

荷物番の俺が詳しく知る由はないが、不自然だ。この子供には色々と聞きたいことがあるし、しばらく俺は荷物番を降りさしてもらう。」

「そうか。こっちで手は打っておく、休んでくれ。」


この少女が放った、ダイブを消し去る光。俺のようにセカンドダイブに成功したケースだろうが、エジーが逃すわけもないし、誰かが意図的に逃した可能性がある。


オアシスに、向かうことも視野に入れなければいけない。

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