第14話 転生・転移主人公が元の世界に帰らないのは闇らしい。

古めかしい話題を引っ張り出してきたのでちょいと語ってみるエッセイです。

異世界に生まれ・飛ばされ、強敵を倒し、出会った仲間たちと共に苦難を乗り越え、ラストは帰郷で締めくくる。


うん、よくある物語の終え方ですね。でも嫌いじゃないですよ。かといって異世界に残るのも嫌いではないですが。


最近では、なろうの隆盛に伴って帰還しないのは闇だ!という意見をちょくちょく見るようになりました。何でも元の世界では、ぱっとしない人間だったのに、異世界で成り上がってうはうはでそれを手放そうとしないのが闇だとか。


うん?

作者はこれらの意見に疑問を覚えましたね。

ラスト、役目を成し遂げた主人公が元の世界に戻るか戻らないかを選ぶ要素を考えて見ましょう。


まずこの二択の時点でいきなり問題が発生します。

ずばり帰る際の時間軸は一緒なのかというものです。


一番恐ろしいのは家族が全員亡くなってて、自分も老いた体、世間の常識からも置いていかれ、浦島太郎状態というのが最悪のパターンでしょうか。下手したら「主人公はもう死んだの、あんたは偽者!」展開が待ち受けています。


次に↑を回避するための次善策が、時間軸ぴったり。

あの日、あのままの時間、姿でママンが「こんなところで何してるの? おやつが出来たわよ」と声を掛けてくれ、日常へと帰っていくパターンですね。亜種として夢オチなどがあります。


考えうる限りの最高は我らがなろうですね。

神様が「良くぞ使命を果たした、元への世界、異世界に来る前の時間軸に戻そうではないか、おまけにチートもプレゼントじゃぞ」などという至れり尽くせりな欲張りセットを提供してくれます。ヒュウッ、こいつはすげえや!


別パターンとして、主人公が元に戻ることで世界や主人公にストレスがかかり惨い事象が発生してしまう。残れるけど実質一択ってパターンもありますね。世界が「とっとと帰れやぁ!!」と言わんばかりです。まあ、酷い世界の場合も帰郷一択ですが。


次善策の場合でも、命を脅かされ危険な目に散々あいながら

使命をやり遂げた主人公に対して「報酬は君の心の成長やで、これからも強く生きてな。キラッb」が待ち受けています。


個人的にはふざけんなあああ!!ってなりますね。

でも向こうに家族や友人はいないけど、地球にはお風呂とネットとジャンプがあるから俺は帰郷するんだ!っていうのもそれはそれで有り!


次に人間関係を考えていきましょう。

・故郷に家族、恋人、友人がいるいない。

・異世界での家族、恋人、仲間がいるいない。


この組み合わせ次第で主人公君は大いに悩むでしょう。

また異世界にいる時点で元の時間軸か時間経過しているのか、それを知っているか知らないかも重要な要素でしょう。


ここで甲斐性増し増し君なら、「ヒロイン! 俺についてこい! 心配は何もいらねえ!!」と男らしさマックスで語るでしょう。あるいはヒロインや仲間達が異世界から遊びに来てくれるという可能性が残っているかもしれません。


しかし、ここでも問題が発生します。

ずばり、ヒロインの移住環境です。ちなみに、異世界と元の世界で細菌とか微生物の分布が違うので適応できずに即死亡なんて火星人オチはこの際なしです。

なぜなら転生ならともかく、転移主人公が異世界で活動できている時点で元の世界へ行くヒロイン側にだけそれを求めるのはもはや矛盾だからです。


なので槍玉に上がるのはヒロインの言語、医療福祉、周りの対応ですね。

言語問題を解決できるのか、医療や公的な対応を受けられるのか。

さらに異世界人と知った政府・何らかの組織が手を出してこないのか。


異世界で問題を解決したと思ったら、次は帰還後の世界でも問題発生ですよ。

何ですかね、製作者や物語は主人公を曇らせたいんですかね。


ちなみに自分が気になるのはヒロインを連れ帰るパターンですね。

ヒロインに故郷や家族を捨てさせ、苦悩するのが分かっていて連れ帰るのかと。

いやあ、地球に異世界人が来ても苦労するしない話なんていっぱいありますけどね。


人によってはヒロインにそんな苦労はさせられん。

俺が異世界に残るよと考える主人公君も出てくることでしょう。


色々語ってみましたがまとめっぽいのを。

ネットの主張を見るに、帰る作品が基本なので帰らないなろうを異端とする風潮があるように感じます。まあ、なろう以前の話にも異世界に残る残らない主人公たちは両方いましたが。(帰る作品が基本というのは的外れ)


それと寓話的な、メッセージ性を持たせるためには帰らせざるを得ない感も。

なろう作品はそのくびきから解き放たれているため、帰らない選択をすることができるって感じがしますね。


あと、帰らないといけない勢は主人公は苦労しないといけない勢と同じなのかもしれません。主人公の苦労は買ってでもさせろ的な。


ところで、こういうのに突っ込む読者さんって異世界からヒロインを連れ帰って

実験体とか隔離ENDとか好きそうですよね(偏見)


それから話は全く変わるのですが

火の鳥 望郷編がアニメ化されて2023年にDisney+で配信されるそうです。

これも一応帰る話なのですが、帰らないといけない派の方々にはぜひ見て頂きたいです。


ではこれで終わらせて頂きます。

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