第9話 異世界人はバカで知能が低いのか?
「~~!! お前をパーティ、ギルドから追放する!!」
みんな大好き追放なろうの定型句。
追放されるまでの理由は多々ありますが、これについて色々な声があります。
そんなやり取りが実際にあるわけがない。
異世界人は知能にデバフでもかけられてるのか?
などなど。
果たしてそんなことがありえるかどうか、作者なりにオンラインゲームの実情を鑑みて考察していきたいと思います。
パターン1
責任者が魅了スキルで骨抜きにされて主人公を追放。
他のメンバーが止めなかったりかばわなかったりするのはおかしい。
まともに頭が働けばそんな横暴は通らない、という批判がでるタイプですね。
現実には魅了スキルはありません。
しかし、魅了される人間というのは、現実でも小説でも変わらず存在します。
魅了するのにスキルなど不要なのです。
魅了する人間には二通りいます。
一つはオタサーの姫やサークルクラッシャーに分類される女性。
もう一つはネットのオカマ、ネカマなどと呼称される男性。
彼、彼女らは硬軟あわせた巧みな弁舌で対象の信頼・愛情を得て
色々、あなた達から掠め取ります。
「おいおい、この俺が男なんぞにだまされるわけないだろ?」
と思った、そこのあなた。
あなたはもう相手の術中にはまっています。
なぜなら被害者はすでにたくさんいるのですから。
例えば、ネカマはどうやって女性だと思い込ませるのか?
彼らはあなたをだますために努力を怠りません。
必要なら、姉妹や女友達を電話口に出すぐらいはやってのけます。
さらに化粧品、タイツ、下着の種類やメーカーを熟知し
普段の会話に混ぜることで、相手は女性なのだ、と思い込ませてきます。
「タイツ破れた~、このブランドよわすぎ~」
なんて日常会話を流されていたなら、ピュアな人間は疑うことなく信じるでしょう。
そうしてあなたに都合の良い異性を演出しつつ、ゲーム内のレアアイテムを貢がせたりレベリング作業を手伝わせます。
十分に協力させると、ある日突然、姿を消して去っていきます。
あなたに十分な財力があれば、去らずにばれないよう吸い続けるでしょう。
もし、あなたがギルドマスターであったのなら?
ギルドの共有財産に手をつけるのは時間の問題でしょう。
「私のこと友達じゃないの?」
「~~、大好きだよ」
と中身おっさんにささやかれ、あなた達、ギルドマスター・リーダーは共有財産に触れることを許してしまいます。
中にはそんな様子を怪しみ、警告したり忠告したりする仲間もいることでしょう。
しかし、彼らの声はあなたには届きません。なぜなら、あなたはすでに魅了されているから。悪ければ止めようとした仲間を嫉妬してるのか、横恋慕するのかと追放することもあります。当然、仲間は恐れて口をつぐむでしょう。(なろうでよく見る光景)
ちなみにネカマ二人が同時に所属した場合、男性支持票の奪い合いになって
選挙戦さながらの光景になることもあります。もしくは人間関係でギルドが崩壊するか。
資産を奪い取られたことが発覚したとき、ギルドメンバーがあなたをどうみるか。
あなたは知っていますか?
パターン2
ヒーラー主人公を攻撃技がなくて役に立っていないからと追い出す。
お前らヒーラーは俺たち前衛の役に立てることをありがたいと思え。
ヒーラーを追い出すなんてありえんだろ。
支援・回復役を追い出したら誰が代わりをするんだよw
という批判がでるタイプですね。
なるほど、ご説ごもっとも。
仰るとおり、ヒーラーはパーティやギルドには欠かせません。
しかし、それでもヒーラーの軽視は起きるのです。
そもそもヒーラーの軽視はどうして起きるのか?
パーティーの決壊というものはモンスターとの与ダメージ・被ダメージのバランスが崩れたときに起こります。
ヒーラーとはいわばモンスター討伐において、ここまでは耐えられるという安全弁のようなものです。ここで問題なのがヒーラーが積極的に戦闘しないのを、サボっている、役立たずだと思う層がいることです。
ゲームばかりではなんなので、現実の例でも考えて見ましょう。
公共工事削減での錆び錆び配管、機器の更新やメンテナンス費用の削減。
IT分野での技術者軽視などが好例ではないでしょうか?
こういった費用を軽視して問題を招くのは現実でもゲームでも変わりませんね。
ゲームでの話題に戻ります。
限界を超えて決壊したのなら、責任の所在、戦犯探しが始まるでしょう。
そして、ヒーラーとはその槍玉に挙がりやすい立ち位置にいるのです。
あいつがもっと早く回復してくれていたら~
他のヒーラーならさばけていたのに~
しっかり支援してくれていたら~
ゲーム内の仕様を無視した発言が出ることも珍しくありません。
なぜなら自分の職業以外のスキルや魔法の知識など持っていないからです。
まるでなろう小説での一幕ですね。
それらへ拍車をかけるのが、『勇者様』『ふんたー』などと呼称される存在でしょう。連携おかまいなく敵を叩くことに集中し最後には仲間を巻き込んで自滅していく存在です。彼らにとって他のプレイヤーとは自分を目立たせ活躍させるための駒でしかありません。支援や回復を切らさないことは当たり前、何かあれば回復を怠ったお前のせい。
よく仲間を追い出して補助魔法が切れてしまい、元のパーティーやギルドが凋落していく。ちゃんと報連相してたらこんな展開はありえないという批判がよくあります。
いえいえ、そんなことはありません。
支援も含めた力量が素の力だと認識し、報告も自分に良いように解釈するので、小説中での、あのような反応はオンラインゲームで鑑みればよくあることだと詳しい人間なら納得することでしょう。
総括っぽいの。
なろう批判によくある異世界人は知能が低い、という話題から書き始めたエッセイですが、わりかし地球人も異世界人も、そう変わらない、ということが説明できたのではないでしょうか。
補助魔法が切れて元パーティがザコになるのも、説明しておけよという批判にたいしても、説明してもそうなるのは人間しだいでは避けられないでしょうし。
他にも仲間になら、何ができるか周知しろとか
スキルやステータスを教えておけとかありますけど、果たして全部伝えるものなのか?という気もします。(対人戦万歳なゲームだと全部伝えたりはしませんね)
でも・・・補助魔法切れてうんぬんあたりはちょっと苦しい気がしたので
あらかじめ伝えておいても、成長し、増長した仲間がお前の補助魔法なんてたかがしれてんだよ!みたいな流れにしたらゲームに詳しくなくても理解しやすくなるのかなとも思ったり。
最後にクリスマス(書いた当時はクリスマス)に何書いてんだろう、俺・・・と正気に戻ったので、このエッセイは以上となります。
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