第15話 どっちもスイーツ脳

両親への説明に時間を使ってしまった。

30分、30分もだ。


内容を考えたら。

早い方なのかもしれないけど。

もう時間も時間。

木村には迷惑でしかない。

間違いない。


妹に相手を任せてきたけど、大丈夫かな。

人見知りの妹だ。

ごめんね、今度スイーツおごるから。

自室のドアを開ける。

和やかな雰囲気が通り抜けた。


「おかえり金子」


「メイも金子ですけど」


「じゃあ金子妹」


「さすがにそれはちょっと嫌かもです」


…なんか気安くない?

え?

初対面だよね?


たまに連れてくる友達より。

気安く見えるんだけど、それ。


いいけど別に。

今は、それどころじゃない。


「ありがとメイ。木村」


「どうなった?」


「こんな時間だけど、できたら料理作ってもらいたい」


「明日は式だけだし、おれはかまわんが…」


「両親が明日から出張なの」


「そういうことなら。おっけー」


「ありがと!」


端的に言って、了承を得る。

タイミング的に、今しかない。

出張したら、いつ帰ってくるかわからない。


ほんとは、別に許可なんて…

いらないかもしれないけど。

でも、だからこそ。

しっかりしておきたい。


「もう熟練の夫婦みたいだね?お姉ちゃん」


「いいから!」


そういうの。

いいから。

絶対からかわれると思ったけど。

照れるからやめて。

木村も困るでしょ。

これから料理つくって貰うんだよ。


「木村先輩、姉がすいません」


「気にすんな、熟練のコンビとはよく言うしな」


「わかる気がします」


「自称だが」


「どっちのですか?」


「おれの」


「先輩、おもしろいですね」


ちょっと妬けるぐらい懐いてるの、なんで。

っていうかそれ。

その自称、初めて聞いたんだけど。

やばい、嬉しい。

いや、今はそれどころじゃないんだって。


「いくよ、ふたりとも」


2人を連れて部屋をでる。

これからが、勝負なんだから。

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