第14話 やばくないですか

アシュリー並みの目力を受けて、いま。

金子の家の。

金子の部屋で待機中だ。

なぜ?


いや、そもそも金子いないんだが?

むしろ金子以外の誰かがいる、という状況。

意味わからん。

金子どこ。


「木村先輩。そこんとこどうなんです?」


「…」


金子が出ていったあと。

作る料理をスマホにメモしてたら現れた。

自称金子妹。

まぁどうみても妹なんだが。

ずっと質問攻めにあってる。

15分、15分経過—。


「聞いてますか?先輩」


「聞いてる聞いてる。それな、わかる」


「それ聞いてない人の言うやつですよ」


「すまん」


すでに、金子との関係を洗いざらい吐いた。

金子妹が高1で、後輩というのも聞いた。

趣味が料理で、お料理研究会所属。


いい趣味してるね?

でももう話すことないんだが…

それなわかるすまんデッキも限界だ。

助けて金子。

今ならスイーツつけるから。


「はぁ…お姉ちゃんのお弁当を作るのはわかりました」


「…ああ」


「メイのお弁当はどうなりますか?」


どうなるんだ。

そもそもメイってだれ。

流れ的に。

目の前の金子妹のことだろうか。


そのへんは…金子とか。

ご両親次第でもあるんじゃないか?

しらんけど。

いやマジで。

そもそも、


「自分では作らないのか?」


「…あさ、よわいので」


「わかる」


「はじめて言いましたけど」


それな、と続けたいところだが。

やめておこう。


「今まではご両親が用意してたのか?」


金子が作れるという話しは聞かない。

練習中ではある、らしいが。


「お弁当ですか?いえ、購買か食堂です」


「なるほど。そもそも許可が下りるかもわからんが…下りたとして」


「して?」


「急に弁当持ちになるの、どうなんだ?」


「どう…とは」


「友達とか、なんか言われないか?」


「ああ、そこは素直に言いますよ。お姉ちゃんの彼氏が、シェフで彼氏だから、とか」


「彼氏でもシェフでもないんだが」


強調されたっぽいダブル彼氏。

つっこまない。

つっこまないぞ。


「でも説明つかなくないです?それだと他人のお弁当ですよ。なんか怖くないですか?」


「急に弁当持ってきて、これ他人の弁当なんだよーとか」


「やばくないですか?」


「やばいな」


「ふふ、ですよね」


たしかに。

意味がわからない。

どこで強奪してきたのその弁当。

恐いわ、ホラーでしょ。


スマホをチラと見る。

すでに30分経過してる。

金子が返ってこない。

こっちもホラーなんだが。

金子?

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