第12話 思ってもみなかった
さて、どうしたものか。
帰路につきながら考える。
お隣では同様に、思案顔の金子がいる。
学校でのおれたちは、ほとんど接点がない。
別に隠してるわけじゃないんだが。
クラスが違う。
そうすると?
そもそも接点が生まれないわけですね。
カーストに当てはめるなら。
おれは中層、金子は上層になるだろうか。
これだけかわいくてコミュ強だ。
向かうところ敵なし状態!だろう。
どうなんだ、金子。
「…なに?」
「顎に指を添えながら考えるやつ、ほんとにいるんだな」
「えっ!?無意識なんだけど…うそ…」
「意識してやってたら、それはそれでおもろいが」
「むー!」
今日もいいバッファローだ。
チャリを手放さない理性はあるらしいが。
ほんとに、この関係は心地いい。
迷惑そうではないことは。
さすがにもうわかってる。
アシュリーもメールで言ってたし。
少し、踏み込んでもいいのかもしれない。
「金子」
「うん?」
「明日からの弁当、おれに作らせてくれ」
☆
「早めに、帰るようにね」
「ご迷惑をおかけしました」
去っていく警察をお辞儀で見送る。
夏休み最後に、すごいイベントきちゃった。
まさか警察のお世話になるとは…
弁当話しの直後。
思ってもみなかった言葉だったのか。
金子はその場にへたり込んだ。
同時に倒れこむチャリ。
そこは手放さないでほしかったが。
さすがにどっちかしか救えそうになかった。
すまん、金子のチャリ、と。
念のため金子から遠ざけるべくキックした。
結果、騒音が近隣に響き渡り。
おれは無事、通報されたようだ。
…にしても、弁当の件。
そこまで意外だったのだろうか。
まかない代わりのつもり、だったんだが。
まぁ、店の食材で作るまかないと。
おれの自腹弁当ではだいぶ違うが…
主にコストが。
ていうか、そこまでは…
求められてない可能性もあるな。
うわ…そしたらおれウザイやつじゃん。
勝手に弁当作るマンとかどうなん?
…視線をくれても無反応である。
金子はいつ帰還するんだろう。
目に前にはいるのに、意識どこいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます