第152話 決着

薬師ギルドのギルマス、アニュラさんが、この街というかこの領を治めていた元領主という事実を知って驚いております私を置いてけぼりに、話はどんどん進んでおります。


「さて、此度のモンスタートレインの原因は分かった訳じゃ。して、お主ら冒険者ギルドが冤罪をかけたこの冒険者サクラにはどう対応するつもりじゃ?チーボアイを出たところから犯人と決めつけ武器を向けてここまで連れて来たそうじゃな?街の者達が何人もその姿を見ておる。受付の者が勝手に起こした事などとぬかすなよアミュナギルドマスター。冤罪、虚偽証言の強要。買収。今一度ギルド職員の教育はもとより、働き方を見直し正せ。」


「はい、お言葉の通りに。サクラ、この度は本当に申し訳なかった。我がギルドの職員教育が不十分なばかりに不快な思いをさせてしまった。ベロトナの処分に、あなたへの賠償は決め次第お知らせさせて頂く。要望が有るならなるべく沿うようにする。何かあるか?」


アミュナさんが頭を下げて詫てくれた。

本来はベロトナさんが謝罪するのが筋なんじゃないの〜?


「とりあえず、武器を向けられてここまで連れて来たのを沢山の方に目撃されていると思いますので、私は何もしておらず無実であり、ギルドの勘違いであった事を認めて冒険者ギルドから正式に公表してください。後はベロトナさんから謝罪頂ければ私はそれで構いません。ですが、ギルドの権力をかざし、若い冒険者の皆さんを脅して嘘の証言をさせようとしたことについてはきちんと話し合うべきだと思いますよ?彼が違法な奴隷紋を使った貴族と繋がっているかもきちんと調べた方が良いかと。ギルドの信用問題にも関わりますからね。」


「あぁ、サクラを間違って連行したことについては冒険者ギルドから正式に謝罪と共に公表させて頂こう。他の冒険者の皆にはベロトナに何を言われたのかをしっかりと聴取してギルドとしての体制を考える事にする。」


これで武器を向けられる様な事はしていないと、見ていた人達にもちゃんと認識されると良いなぁ。


このままで、なんかしでかした人のレッテル貼られるのはごめんだもん。



「相変わらず欲のない要望じゃのサクラ殿は。さて、話が一段落したのなら本日は解散じゃ!サクラ殿はこの後、時間はあるかいのぉ。有るならば薬師ギルドによっていってくれんか?チーボアイに潜っていた週と今週分の買取りをさせてもらいたい。」


「大丈夫ですよ!じゃあ、この後2週分の買取りお願いします。」



と言う訳で、ベロトナさんのやらかしたことへの取り調べはギルマスに任せて、冒険者ギルドを出たら薬師ギルドへ。




「今回の買取り金額、2週分で金貨900枚。確認いたしました!」


「うむ。こちらもレッドスネイクの素材を10匹分。確かに確認させてもらったぞい。」


「しかし、恐ろしい程の大金が…。死の森の素材って凄いんだねぇ。」


「自覚がないようじゃが凄いからの?現在は流通数も以前よりかなり減っておるし、ポーションに使わない皮や牙、爪なんかはすぐに買い手がつくのでこちらも良い儲けになるんじゃよぉ。」


今までの所持金と合わせたら金貨1000枚はゆうに超えるんですけど!!


いや、調理器具沢山頼んだし明日はなかなかの額の出費になるし、蓄えは大事!


「そうじゃ、暇ができたら孤児院に寄ってやってくれ。お主が武器を向けられて冒険者ギルドへ連れて行かれたと儂に知らせてくれたのは孤児院の子供達なんじゃよ。えらく心配しておったから顔を出して安心させてやっとくれ。」



あのタイミングで何でアニュラさんが冒険者ギルドに居たのかと思ったらそういう事だったのか。


明日、調理器具の確認が終わったらお肉持って孤児院の子供達にお礼言いに行こう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る