第151話 真実は

自分がテイマーである事がバレたかもと、慌てふためきながら青ざめるという状態になっているベロトナさん。



防音結界を張っていたから周りには聞こえていないのでバレてはいないはず…いやぁ、多分ギルマスと剛毅の守り手の皆さんは気づいているかもだけれど…。


「で、怪我をした冒険者さんは?」


ベロトナさんが黙ったので今がチャンスとばかりにギルマス達に聞いてみたところ、答えてくれたのは意外な人だった。


「その冒険者の女子おなごなら意識を取り戻して真実を話したぞい。」


「アニュラさん?!」


「お祖母様!」


「ホッホッホッ。しかとはげんでいるかいアミュナよ。」


お祖母様?アニュラさんが?

同じ竜人族だなぁとは思っていたけど、まさかのお祖母様と孫だったとは。


「お祖母様、真実を話したというのは?」


「あやつらはモンスタートレインを起こしてこの街の領主を失脚させるのが目的だったそうじゃ。依頼主はとある貴族でのぉ。なかなかの報酬だったために依頼を受けたが、同じ様な理由で集まった寄せ集めの即興パーティーだったために簡単に裏切られて囮にされたんじゃと。」


アニュラさんの話によれば今回のモンスタートレインの犯人は、領主失脚を狙ったとある貴族が起こした事で、実行犯は鳴かず飛ばずでくすぶっていた冒険者達7人と隠密等の姿をくらますのに特化したスキルを持った裏社会で働く人が3人。


この裏社会で働く人達、領主失脚を目論んだとある貴族さんが雇った者だったそう。


ミノタウロスを周りに気づかれずに部屋からおびき出した方法は、違法な奴隷紋を用いてむりやり従わせるというもの。


隠密系のスキルを持った者達が周りに気づかれないようにし、それらのスキルを持たない冒険者は他の冒険者が隠密をかけたミノタウロスに近づかない様に上手く立ち回ること。



「しかし、上位魔物であるミノタウロスを奴隷紋で縛り続ける事ができず、返り討ちにされたというわけじゃ。他の奴等は怪我をした奴を見捨てて一目散に逃げたそうじゃが、今そやつらも捕まえるべく我が家の影達が動いておるから心配はいらんじゃろう。」


我が家の影ってアニュラさん何者…。


しかも、違法奴隷紋ってなんです?魔物を従わせる為に奴隷紋の支配力を極限まで高めた物とな?

人間に使えば体が持たずに死に至る様な代物ですと?!


「と言う訳で違法な紋章を用いて企てられたモンスタートレインというのが今回の事件の真実じゃ。本来は3匹ではなくもっと集めるつもりだったらしいぞ。まあ、普通の人間の力ではそんなことは無理じゃと、冷静な頭を持つ者ならすぐに分かることのはずじゃがな。この違法な奴隷紋については国に報告しなくてはいけないのぉ。こんな違法な物を使って関係のない者達を巻き込み、このソルシャンの街、ひいてはアリマーン領を脅かそうという族にはそれ相応の報いを受けてもらおうじゃないかねぇ。」


優しいお婆ちゃんなイメージだったアニュラさんが鋭い目つきに変わる。


「お祖母様。現領主はあくまで父上なのですから、お祖母様は目立たない所で手を貸すくらいにしておいてくださいね。ただでさえ今でもお祖母様が領主だと思っている人も多いと父上拗ねているんですから。」


「分かっておるよ。あくまで情報集めを手伝うだけじゃ。実際に馬鹿共に裁きを下すのは領主であるあやつじゃよ。まぁ、掃除をする良い機会じゃから徹底的にやれとは言っておこうかのぉ。」



アニュラさんがアリマーン領の元領主…聞いてませんけどー!!




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