第147話 暗雲
マジックバックから出てきた体長7m程のウミヘビ型の魔物、シーサーペントをとりあえず戻す。
これ、そのままの姿なの?解体どうしよう…。
キャンプ地に私達以外に泊まっている人がいないから、そこで広げて解体しようかなぁ。
あまり良い対応をしてもらえなかった冒険者ギルドにはあれから1度も行ってないんだよね。
モンスタートレインの事で事情を聞かれるかもとは言われたけれど、剛毅の守り手の皆さんの説明だけでOKになってくれると良いなぁ。
因みにエクストラマーグが切り身にならなかったのはヴィミエナ達が倒したのではないからみたい。シーサーペントが囓ったあと、そのままの姿で海に浮いていたからモモが触手を伸ばして拾ってきたらしい。
このダンジョン内の魔物間で起きた殺生の場合はそのままの姿ってことか。確かにシーサーペントは切り身になったエクストラマーグよりそのままの姿で囓りついた方が食べやすいか。
シーサーペントがそのままの姿なのはこのダンジョンのボスだからではと、鑑定さん情報である。
なる程、有り得そう!
沢山頑張ってくれた従魔の皆を褒め倒したらダンジョンを出る準備。
戦利品を持たず手ぶらだと怪しまれるだろうし、マジックバックがいっぱい有ることもなるべく知られない様にする為に、入口に戻れるという魔法陣に向かう前に用意しておいたリヤカーにゲットしてきた食材を数種類乗せていく。
「よし!じゃあ、帰りますか!」
魔法陣に乗ると一瞬でダンジョンの入口に戻っていた。
「テイマー冒険者のサクラだな?冒険者ギルドまでご同行願おう。」
入口に戻るやいなや、武器を持った衛兵に囲まれたよ。
「同行理由はなんでしょうか?武器を向けられる覚えもないのですが?」
「しらばっくれるな。モンスタートレインの事だ!」
はて、モンスタートレインの事情を聞かれるかもとは聞いていたけど何故武器を向けられて、偉そうにご同行願おうとか言われねばならんのか。
「モンスタートレインのお話ならしますが、何故武器を向けられているのでしょう?それと、まずはこの荷物を置いて来てからでもよろしいですか?」
「ふざけるなよ罪人が!」
衛兵のひとりがリヤカーに乗っていたレッドマを掴むと地面に叩きつけた。
レッドマは地面でぐしゃりと潰れ、駄目になってしまった。
食べ物粗末にしやがったなこの野郎。
心の中でそう呟いてリヤカーごとアイテムボックスにしまう。
アイテムボックスのことはバレてしまうけれど、また食べ物を無駄にされるのは嫌だし、何よりこの人達の態度がいけ好かないので場合によってはこちらも全力でお相手する事に決めたからね。
驚いた顔をした衛兵だったけれどすぐに表情を戻し、付いて来いとこちらに武器を向ける。
私がダンジョンから出てくるのをこの人達が待っていたのは間違いないのだろうし、武器を向けられていると言う事は良い意味で待たれていた訳でないのも分かる。
剛毅の守り手の人達が先に説明してくれているはずなのにこの対応なのも気になる。
『きな臭いな』
ヴィミエナが念話でそう言うと僅かに魔力が動く。
見ればヴィミエナの耳がピコピコと動いているので身体強化を使って聴覚能力をあげ、遠くの声を聞き状況を探ってくれているようだ。
身体強化でヴィミエナが聞いたことを念話で聞きながら衛兵に連れてこられたのは冒険者ギルドの一室。
そこに居たのは若い冒険者パーティーが数組と、この街に着いた初日に、あまり感じの良いとは言えない受付対応をしてくれた受付の男性ギルド職員だった。
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