第144話 ミノタウロスのモンスタートレインを解決せよ!
「あの〜。ミノタウロス倒すんですよね?私、協力します。」
とある冒険者パーティーが己の命をかけた死闘へ向かおうとしている…物語や映画なら確実に見せ場であろう空気感をぶち壊しつつ声をかける。
セーフティエリア内にいた人全員の視線がこちらに向いたのではないかってくらいに注目されたけど、死にに行きますと言わんばかりの人達を放っておいて本当に死なれてしまったら夢見が悪いし後悔もするだろう。
いや、これが嫌な奴とか大犯罪人とかだったら知らんふりするかもだけど…。
「君はEXポーションを譲ってくれた…。良いのか?相当厳しい戦いになるぞ?命の保証も出来ん。」
大盾を持った男性が真っ直ぐこちらを見つめて言う。
彼の後ろにいるパーティーメンバーも真剣な面持ちでこちらを見つめている。
「はい!ただ戦う前に詳しく情報をいただければと。居るのはミノタウロス3匹ですか?でもミノタウロスってミノタウロス部屋以外には出ないんですよね?あとモンスタートレインが良く分かっていないのですが…。私は冒険者になってまだ数カ月の新参者で、ダンジョンもここが初めてなんですよ。」
ミノタウロスを倒しに行く気だった冒険者一行に大丈夫かこいつみたいな顔されたけど…情報は大事でしょ?!
「モンスタートレインは大量の魔物を引き付けて連れ回すことをさす。大量に引きつけて一気に討伐する事で効率を上げるという戦法だか、基本的には危険で使われない戦法だし、他の冒険者を巻き込むなど言語道断なんだがな。」
「今回は怪我をしていたあの娘が追われていたのよ。」
「ミノタウロスは基本ミノタウロス部屋からは出ないが例外があってな。奴は自ら進んで出てくる事は無いが、奴を引きつけて部屋から出すという事は出来るんだ。」
「何故引きつければ部屋から出す事が出来るのかはこのダンジョンの謎のひとつでもあるのです。3匹だけであってもAランク魔物とされるミノタウロスならば立派にモンスタートレインとなってしまうのですわ。」
なるほど…。でもそうなるとひとつ疑問が残るのだが…。
「おい!さっさと何とかしろよ!!このままじゃここを出ることも出来ないだろ!!」
あちらこちらでまたまた怒号が上がる。
自分達は協力する気ないくせに…。
まぁ、ここにミノタウロスを狩れる程の力がある冒険者パーティーが何組いるかだよねぇ。
このダンジョンのミノタウロスはドロップで肉の塊しか出ないから、防具や武器に使える他の素材が取れない。
その分ミノタウロスを倒せる冒険者はミノタウロスを倒すなら、わざわざチーボアイへ来てではなく、野生のミノタウロスを狩った方が利益率は高いからね。
昼間見ていた感じでは、このダンジョンでミノタウロスに挑戦するのは腕試しをしたい者や、決められた期間内に肉の納品依頼をこなしたい者だ。
だって、危なくなっても引きつけなければ自分達が部屋から出れば追われることはなく、比較的安全に挑めるから。
納品依頼を受けてる冒険者はお肉確保をしたらすぐ、魔法陣でダンジョン入口まで戻っちゃう事が多いみたいだし。
「ミノタウロスは3匹なんですよね?倒せたらそのドロップ品は貰っても良いですか?」
「外に居るミノタウロスを倒せるのならドロップ品の肉は別に構わんが…。」
ますます何言ってるんだこいつみたいな顔をされたけれどドロップ品のお肉は貰えることが確定したので良しとする!
「じゃあ、倒してきますミノタウロス!ヴィミエナ、ミノタウロス3匹いけるよね?!」
『うむ、任せろ。すぐに終わる。』
ヴィミエナを呼ぶと念話ですぐに返事が帰って来た。
「なっ、ケオトートティーガか?!!」
セーフティーエリアの奥から現れたヴィミエナに皆が驚いているけど、さっきからずうっとヴィミエナもこのセーフティエリア内にいたよ?
そりゃあ他の人を驚かせない様に魔力は抑えてもらっているし、隠密のスキルもかけているけど!
※この時サクラが感じた疑問は数話後に明らかになりますのでお待ちくださいませ!
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