第130話 共同開発

1週間有るならチーボアイに潜って食材確保に励もうかな!


そんな事を考えていた時が有りました…。


現在、薬師ギルドのテルフォン前にヴァルカンさん夫妻と共に座っている。


通話相手はメリアさん。


商品登録のなんたるかを1から有りがたーく教えて頂いております。


ヴァルカンさん夫妻に調理器具のオーダーをした次の日、テルフォンで始まりの町の商業ギルドに連絡を取り、作ってもらう調理器具の説明をして商品登録をお願いしようとしたらこうなった。


「とっても素晴らしいアイディアよ。こちらで登録して欲しいと連絡をくれたのも有り難いわ。でもね!!」


メリアさん。美人なお顔が残念になっております。


なんでこんな事になっているかというと、原因は4口グリルオーブン付きコンロ。


魔石を使うコンロなので魔法陣を用いた魔道具扱いとなるこちら。

これの案を考えたのが私、魔法陣を設計し組込み作るのがヴァルカンさん夫妻。


これは共同開発扱いになるのでは?という事と、王都で1,2を争う腕前鍛冶職人ヴァルカンさんとその奥方にお願いしたという事で、少し揃ってお話合いをしましょうねと良き笑顔のメリアさんに言われてしまった。


結局2日じっくりとお話合いをしました結果、4口グリルオーブンコンロは共同開発で登録。


オーブンコンロの売上の3割が夫妻に払われる事になった。


3割で良いのかと思っていたら、職人手当(お給金)は他にちゃんと払われるというので安心した。


そう、ヴァルカン夫妻は私の商会ビアータソレイユのお抱え職人になる事も決まったのだ。


私の頼んだ調理器具が出来たらその後は、水の湧き出るシリーズである桶や鍋、ダンジョンに潜るにも便利になりそうな水筒型タイプの制作をお願いする。


需要が有りそうなら販売用の調理器具も作ってもらう予定。食堂とか貴族の厨房とか需要有りそうな気がするけどどうだろう?




「ではヴァルカンさんソアレさん、改めて宜しくお願いします。」


「まさか創造の守護者が目をかける商会で仕事をする事になるとは、王都から逃げて来たような儂らなんかで良いものか…。」


「王都1と言われた腕のヴァルカンさんを勧誘出来たのですからこちらは万々歳ですよ!あの事件の結果に関しては真っ当なギルド職員は誰ひとり納得していませんからね!!サクラちゃんの考える物は驚く様な物が多いですけど良い品である事は確かです。それを形に出来る腕を持つ職人さんが協力してくださるのは有り難い事はあっても迷惑なんて事はありませんもの!」


「ありがとう。この恩は仕事できちんと返しますからね。まずは頼まれた調理器具をしっかりと形にしてみせるわ。ね!あなた!」


「あぁ、この腕にかけて半端な物は作らんぞ!」


「ありがとうございます。楽しみに待ってますね!」



こうして作る事に決まった商品の企画書やヴァルカン夫妻との契約書などは、各ギルドに設置されている小型の転送陣でメリアさんの元まで届けてもらう。


なんとギルドにはテルフォンの他にも転送用の魔法陣があるんだって!!


転送陣と言っても30cmくらいの大きさでその中に入るサイズの物しか送れないが、各種手続き書類を送るのには凄く便利なんだとか。


「出来れば新しい調理器具も実物が見たかったわね。」


メリアさんが書類を受け取りながらテルフォンの前で呟く。


「じゃあ、マジックバックに入れて送ります?マジックバックなら魔法陣のサイズ内なので送れるのでは?」


「「えっ?!」」


全員で一斉にこっち見ないで下さいよぉ。ビックリするじゃないですか!

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