第129話 調理器具依頼
「これをお前さんが考えたのか?」
設計図的な紙を見ながらヴァルカンさんが呟く。
本当は元の世界にあった物なので違うけれど、異世界人なのは言いたくないのでへへっと笑って誤魔化しておいた。
「すごいわねぇ。こんなアイディアが思いつくなんて。」
「従魔の子が多いのでいっぺんに沢山作れる物が有ればと思いまして。今は身体が小さいですけどこれからもっと大きくなりますし、食べる量も更に増えるでしょうから。」
『みっ?』
『ぷりゅ?』
『わふぅ?』
呼んだ?と言わんばかりに壊れたドアの隙間から外で待機していたヴィヴィ達が顔を出す。ヴィミエナはヴァルカンさん夫妻を驚かせない様に声を出さず、そおっとこちらを覗き込んでいる。
ヴィミエナ、気づかいの出来る良い娘!
「まぁ、可愛らしい。あら、あんなに大きくなるの?それはご飯の支度が大変になるわねぇ。」
出てきたコメントが魔物は生肉を食べるのでは?とか、テイマーなのか?ではないので驚いていたら。
「テイマーな事を馬鹿にするのはだいたい人族の奴等だぞ?人族の貴族の中には人族以外の種族は認めないと言う者も多いからな。」
との事。そうなのか。
因みに、ヴァルカンさんを騙した弟子は人族。弟子の肩を持った貴族も人族だったらしい。
それはもう黒なのでは?
「で、どうでしょうか?引き受けてもらえますか?」
気を取り直してヴァルカンさんに聞いてみる。
「一度評判が地に落ちた儂で良いなら、この仕事受けさせてもらいたい。」
ヴァルカンさんが深々と頭を下げる。その後ろでソアレさんにはもっと深々と頭を下げられた。
「王都で1,2と言われた腕の職人さんなら武器じゃなくても素敵な物を沢山作れると思うんです。楽しみにしてますので宜しくお願いしますね!」
ヴァルカンさんに手を差し出し、しっかりと握手を交わした後は調理器具の詳しい説明と依頼料などの話をつめていく。
「同じコンロでも薪や炭を使う物と魔石で火力を出す物か。魔石を使う方は少々高くなるぞい?」
「これなら天気が悪くても火おこしに影響は出ませんし、調理方法も増えて料理の幅も広がるんです。なので多少高くなろうともお願いします!」
「材料に必要な物を手配しないとねぇ。それにこの魔石のコンロ!魔法陣が複雑になりそうね。あぁ、久しぶりに腕がなるわねぇヴァルカン!」
ソアレさんも元々物作りをしていた職人さんらしく、夫婦揃って目が輝いている。
こちらとしては念願のバーベキューコンロとかが手に入るって事で目が輝いてしまうわ。
「材料も揃えにゃならんから、とりあえず1週間もらえるか?」
「はい、お願いします!」
1週間有るならチーボアイに潜って食材確保に励もうかな!!
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