第123話 情報料
ムカつく深碧の剣が通り過ぎてからも暫くは皆で小麦刈りに勤しんだ。
途中、子供達がうちの子達と遊んだりしていたけれど、それはかわいいしご愛嬌である。
「良し。これだけ有れば良いか。採った物は重い物から荷車に乗せるぞ!」
ジン君が刈った小麦は小さい子供達が穂の部分だけを取って麻袋に入れている。豆類も此処に来るまでにそれなりに採取していたらしくそれらを手作りと思われる荷車に次々と乗せていく。
荷車有るならそれなりに重い物でも持って行けるか?
「ジン君、荷車にはまだ乗せられるかしら?」
私の声にジン君が不思議そうな顔をする。
「これ、良かったら持って行って!」
アイテムボックスから取り出したのはこの街に来る前に狩ったオークのお肉の塊。スライムラップで包んで有るので衛生面も大丈夫よ!
「同情はいらないよ。」
ジン君が塊肉を突っ返して来るがそれは受け取ってもらわないとね!なぜなら、
「同情じゃなくてこれは報酬よ!」
「報酬?」
「そう!初めてこのチーボアイに入った私に、此処がどういうダンジョンかの情報を沢山くれたでしょう?こういう場所に挑む時には情報が本当に大事だからね!その情報料よ受け取って!」
「でもこんな基本的な情報なら冒険者ギルドでも聞けるだろう?」
やっぱり同情だと思われているようだ。そりゃあ、深碧の剣の話を聞いたのもあって皆にお肉を食べさせてあげたいと思ったのも本当だ。けれど…。
「私はテイマーだし、この街の冒険者と商業ギルドでは歓迎され無かったのよ。だから情報は貰えないわ。だからジン君に情報を貰えて助かったのは本当。あんな同業者が居る事が知れたのも凄く助かるわ。だからその情報の対価として払う物だから受け取って!」
ジン君が私達を見直す。ヴィヴィ達はまだ他の子供達と遊んでいるけれどもね。
「わかった。そう言う事なら有り難く貰うな。」
「どうぞ!面倒くさい人に絡まれない様にこの麻袋に入れて荷台の下の方に置いておくから。あと、お肉はラップっていう透明な膜で包んで有るから料理する時は剥がして使ってね!」
「わかった。ありがとう。」
孤児院に何人居るかは聞いて無かったからなるべく大きな塊肉を選んだけど足りるかな?
「お姉ちゃん、従魔さんまた遊んでくれる?」
小さい子供達がこちらを見る。
「俺達はテイマーだからとかは気にしない。どんな職業かとかじゃなくてどんな人かが大事なのは知ってるからな。」
「ありがとうジン君!皆もヴィヴィ達と遊んでくれてありがとう。また遊んでね!」
「うん!孤児院にも遊びに来てね!」
「おい!孤児院に誘うのはっ!」
ジン君が慌てて子供達を止めている。孤児院に行くなら寄付するというのが当たり前なのかな?食材なら全然寄付するぜぃ?
「勿論!お邪魔して良いなら遊びに行くね!!」
即答で返事をしたからかジン君が呆気にとられた様な顔をしているが遊びに行って良いなら行くよ?勿論、手ぶらでは行かないから楽しみにしててね!!
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