第121話 チーボアイの特徴

「俺はジン。孤児院では最年長で、このダンジョンに入る時のリーダーをする事が多い。さっきはナイフを向けて悪かった。ヴィミエナもすまない。」


『我は気にしていないから大丈夫だ。』


ナイフを向けた事を謝るジン君と、それを許すヴィミエナの会話に周りの子供達が大きい魔物が喋っていると目をキラキラさせている。


ジン君の話によればこのダンジョンは地下に潜って行くタイプのダンジョンで、全部で10階層。


1階から6階までは本当に魔物が出ず食材だけ生えているエリアなんだそう。

7階からは魔物が出るがそれも食用になる魔物しか出ず、本当に食材ダンジョンなんだなぁと改めて感心してしまう。


彼等が此処に居るのは食肉になる魔物の居る階に行かなければ冒険者で無い人でも比較的安全に野菜や果物を手にいれる事が出来るから。


比較的な理由は、自分で採取せず人が採取した食材を力ずくで奪おうとする不届き者が希に出るからだそう。



孤児院はその領の領主や貴族の寄付で運営されるがギリギリの生活の所が多いのが現状だけど、この街では自分達で取りに行くからせめてダンジョンの上層だけでも入らせてくれとお願いし領主に特別に許可を貰っているのだそう。


普通は成人していない子供はダンジョンには入れないらしいけど、この街の孤児院の子供達には特別に許可証が与えられている。


孤児が飢え死にするよりは良いだろうとの理由らしいが、貴族や領主は孤児が飢え死にしないように寄付したりはしないのかな?


「寄付した額は公表されないから孤児院に寄付しているって事実が有れば良いだけなんだよ。貴族共は孤児院に寄付する寛大な心と財産が有ると周りに知らしめたいだけで、本当に俺達孤児を心配してくれてる奴なんてそういないさ。」


世知辛い世の中だねぇ。


「でも、特別にこうしてチーボアイに入る許可証を出してくれた領主様には感謝してる。差し入れも良くしてくれるし。」



この子達はチーボアイのおかげで食いっぱぐれる事も無くなんとか生活出来ているのだそう。肉は滅多に食べれないけどお腹いっぱい食べ物を食べれるだけ自分達は幸せだと。


ええ子達だぁ。



「確か7階には鳥系の魔物。コッコにビックコッコ、レッドターキーにビックドード、ロックバードが出るって話だ。8階は豚系魔物でオークにオークジェネラル、レアだとオークキングも出るって聞いた事がある。他にもピッグピッグって比較的大人しい魔物とメガポルコっていうこのダンジョンにしかいない凄く美味しいって噂の魔物も出るって。9階は牛系魔物。レッドブルにジャイアントブル。ビックカウはチーボアイにしか出ない魔物で肉は勿論、希にミルクがドロップ出来る。これも結構な高級食材って聞いた。後はミノタウロス。こいつは強いから倒せる奴はあんまりいないって話だ。」


ジン君がこのダンジョンの事を詳しく教えてくれたのだが、野菜や果物なんかはそのまま収穫だけど、魔物は倒すと肉の塊がドロップされるらしい。

解体いらずで有り難いじゃないか!


激レアはビックカウのミルクみたいだな。これは是非にでもゲットしないとな!!


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